弟を見守る兄

兄は束の間の実家住まいで、たまに作り慣れたお惣菜を作ってくれることもあった。黙っていても食べ終えたらお皿を洗って伏せる。同じようにしないで食べっぱなしの弟にプンプン腹を立てる。

家の前のキャッチボール。まもなく、もめます…。

おとなしく2人でキャッチボールへ表に出たと思えば、まもなくどちらかがカンカンに怒って戻ってくる。
「アイツ真面目にやらないから、もういい!」
「翔大がボールわざと変なとこ投げてくる。」
「もう2度とお前とは野球やんねぇ!」

はいはいはい…。
もう顔を合わせればケンカばっかりで、早くどちらかが観念してくれないかと辟易していた。

兄弟って、もっと仲がいいものなんじゃないのか。うちの息子たち、まだ本当に幼いのである。

ただこの2ヵ月の間、瑛介のチームの練習を見に行ったり、試合の結果を誰よりも気にしたり、高校の進路のことを本人より心配したりと、兄は弟の野球を親身になって見守ってくれていたのも事実。自分が辿ってきた道を振り返って、兄なりに弟の野球に期待するところが大きいのかもしれない。