歌劇と出会ったのは、中学2年の時。姉が演劇部に所属していて、宝塚歌劇団のビデオを持って帰ってきたのです。忘れもしません、今も大好きな姿月(しづき)あさとさんの舞台。「ふわあ、なんてかっこいいんやろう」と衝撃を受けてしまって、自分もこの世界に行きたい、男役になりたいと夢見るようになりました。

最初の目標は宝塚音楽学校への入学です。その受験用のスクールに高校1年から通うというのは、かなり遅いほうと言えるでしょうね。歌も踊りも本格的に習うのは初めてでした。必死で練習に取り組みはしたものの、宝塚には結局ご縁がなくて。4回落ちてもうチャンスがないとわかった時には、ほんまにショックで落ち込みました。仕方なく普通に大学へ行こうと、受験もしていたのです。

そんな私に、通っていたスクールの先生が「OSKはどう?」と。大阪生まれにもかかわらず、OSKの舞台は未体験。その時初めて観たのが、大阪松竹座の『春のおどり』でした。歌劇の男役に抱いていた麗しく中性的なイメージに対し、OSKの男役さんたちは、まさに「漢」という文字が似合う爽やかな男前。

自分がスポーツに打ち込んでいたからかもしれませんが、芸術鑑賞というよりまるで試合観戦のよう(笑)。舞台と一緒に気持ちが高ぶり、観終わった後はどっと心地よい疲労感に包まれる。そんなエネルギーを感じる舞台だったのです。