「次はどこに行く?」なんて話を

インド、カンボジア、マレーシア、ベトナムなどで出会った連中と「あ~久しぶり!」という感じで出くわす。わずか1週間前に別れた奴がいたかと思うと、1年前に出会って名前も知らないけど顔だけは覚えていた奴もいる。

(写真:丸山ゴンザレス)

関係性の濃度はバラバラだが、喫煙所で出会うと旅先で気を張っていた感じが薄れて、自然とお互いに咥えタバコで旅の報告をしてアドレス帳に連絡先を交換し合う。ネットが未発達だった時代によくみた風景だった。そうして何度か日本に帰ってから集まる仲間もできたりした。

当時、住んでいた川崎のアパートに泊まりにきて鍋を囲んで旅の話をしたり、背伸びして代々木上原のアイリッシュバーに繰り出しては、「次はどこに行く?」なんて話を飽きずに繰り返していた。

やがて、学生だった連中が割といいところに就職したり、留学したりする。なかには連絡がつかなくなったり、共通の知り合いから失踪したと教えられることもあった。

連絡がついていた連中とも、タバコの火が永遠に燃え続けることがないように、いつかはその関係も途切れていた。