イメージ(写真提供:Photo AC)
世間から「大丈夫?」と思われがちな生涯独身、フリーランス、40代の小林久乃さんが綴る“雑”で“脱力”系のゆるーいエッセイ。「人生、少しでもサボりたい」と常々考える小林さんの体験談の数々は、読んでいるうちに心も気持ちも軽くなるかもしれません。第47回は「明治神宮にてご祈願」です。

前回「酷暑の中、スーパーの外に子どもを放置して買い物する母親に遭遇。その時、私たちは何ができるのか…」はこちら

テーマパーク並みの待ち時間

(……っ、足が……しびれ……るっ……!)

2025年1月6日。私は明治神宮で新年のご祈願を受けていた。1年で一番混雑するという時期、神楽殿でのご祈願は約200人の大人数で一斉に行う。その場で約1時間近く正座をしていた私は、とんでもない足の痺れと戦う羽目になってしまった。祈願中、足を崩したくても、場内は満員御礼状態で体も動かしづらい。ここは耐えるのだ、自分。「I say, がんばれ私!」

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個人で仕事をするようになってから、年始の仕事始めに神社仏閣でご祈祷を受けることにしている。願掛けのようなものだ。基本的に今の自分の住まいがある近所の氏神様(神社)で行うと決めていたが、2016年の転居を機にあちこちでお願いするようになった。これには理由がある。転居後、最初の正月は以前からのセオリー通り、近所の氏神様にお願いした。が、こちらの宮司様(男性)がとても社交的な方らしく、境内で定期的に飲み会を開いていることを後々に知る。

とある日。夜、友人と神社の前を通りかかると、何やら集団で騒いでいる。なんだなんだと立ち寄ると、たまたま宮司様の誕生日だったらしい。彼は境内で「ハッピーバースデー!」と自分のためにほろ酔いで陽気に歌い、テキーラをごちそうしてくれた。その様子を真顔で見ながら、私は当日一緒にいた友人にこんなことを漏らす。

「ねえ、私、あの人に5000円払って、1年の安全とか色々祈ってもらったんだけど、だ、大丈夫かな……」

「ちょっと残念だったね……」

件からさすがに氏神様でのご祈祷は気が引けるようになった。もともと神社は人が集まる場所なのだから、賑やかであることは一向に構わないと思う。でも酔っ払う宮司様=現実を目にしたインパクトはさすがに消えることはない。

以来、新年を迎えると様々な神社仏閣でのご祈祷を楽しんでいる。2025年は東京での仕事が1月6日からスタート。その日の吉方位を調べるとドンズバに位置したのが、もともとよく通っている明治神宮。6日ならそろそろ人出も減っているだろうと、現地へ向かった。