コロナ下では、縁側を開放して手作りのお弁当の受け渡しをする

独居の方が栄養失調で亡くなった

コロナ下でもそれなりにひとり暮らしをのびのび楽しんでいる鈴木さんだが、昨年、悲しい出来事があった。

「近所にいる同年代の独居の方が栄養失調で亡くなったのです。出歩くのが困難で、買い物にも不自由していたようで……。いろいろと不便はあるようでしたが、絶対に介護施設へは行きたくないと一人で頑張っていらした。私はときどき炊き込みご飯を作った時に持って行ったりしていたのです。

亡くなる前日もお会いしたのですが、それが最後になるとは思いもしませんでした。その時はひとり暮らしの寂しさを感じましたね。やはり動けるうちは自分から積極的に外へ出て行かなければ、と」

同じくスタッフの山口章子さん(73歳)は東京都出身。2014年に心臓病の手術で入院している間に、夫が認知症に。症状が進み一人では介護が難しくなり、夫とともに娘夫婦の住む相模原市へ転居した。だがまもなく夫は逝去。一人きりで心に穴を抱えていた時に、ボランティア活動と出会う。

「夫のことでお世話になった高齢者支援センターの方に手伝いをしてほしいと頼まれて、『百歳体操』の指導ができる運動マイスターの講習を受けました。ここでカフェが開かれる時も朝30分の体操をやっています。

市の認知症サポーターの講座も受け、体操の後に脳トレをしたり、小学校などで認知症についての学習を手伝ったり。最近は高齢者を支援するボランティア団体で、お一人で不自由をしていらっしゃる方のゴミ出しのお手伝いなどもしています」