『ママおかえり~、ニャ~』って甘えてくるのがたまらない(写真提供:ケイコさん)
できれば、いつも前向きに楽しく暮らしたい。けれど、そううまくはいかないのが現実です。病気や家族の問題など、さまざまな困難にぶつかったとき、どう気持ちを軌道修正すればいいのでしょうか。体験者のリアルな声にヒントがありそうです。1人目は精密検査でがんだと診断されたケイコさん(45歳・仮名)の体験談です。(取材・文=丸山あかね)

心の穴を埋めてくれたベランダ菜園

少し前まで、なんだかワクワクしない、そればかりかドンヨリしていく一方だった。60歳を目前に体力や気力の低下を感じ、人生100年と考えればこの先まだ40年もあるのに、どう生きていこうか不安になる。そこへ愛犬との死別が重なり、私自身心を立て直すのが難しくなっていた。

でも今は、毎日が充実している。きっかけはベランダ菜園だ。たまたま通りかかった園芸店の軒先に野菜の苗が並んでいるのを見て、育ててみたいという衝動に駆られた。さっそく挑戦してみたところ、みるみるうちに成長して、次々と実をつける。きっと私は母性愛を持て余していたのだろう。野菜作りに目覚め、愛を注ぐことで心のバランスをとることに成功したのだ。

私と同様に、夢中になるものに出合ったことで、生き方を見つめ直し、スランプからの脱出をはかった女性たちがいる。詳しく話を聞いてみた。

 

子宮頸がんと告げられ死と直面して

都内の企業に勤めるケイコさん(45歳・会社員、仮名)が、子宮頸がんで子宮と両方の卵巣の摘出手術を受けたのは、3年前の7月のことだった。

「ずっと不正出血が続いていたのですが、忙しさに追われて放置していました。そんななか、出張が急遽中止になりぽっかり時間が空いたので、病院で精密検査を受けてみようと。今にして思えばラッキーな流れだったのです。

でも、子宮頸がんの可能性が高いと告げられたときは頭が真っ白に……。しかも、その後の細胞検査の結果で、転移しやすく抗がん剤の効きにくい腺がんであることがわかったのです。診断されたときはショックで、しばらくのあいだ立ち上がることができませんでした」