ドラマをこよなく愛する作家・柚木麻子さん(右)と、酒井順子さん(左)
今やドラマは、テレビだけでなくネットでも愉しめて、韓国をはじめ海外の話題作も続々登場。そんななか日本のドラマは? ゲストは、ドラマをこよなく愛する作家・柚木麻子さん。柚木さんの鋭い分析に酒井順子さんも興味津々です(構成=福永妙子 撮影=洞澤佐智子)

《負のスパイラル》でも面白さを発見

酒井 私、柚木さんが雑誌に連載している、ドラマに関するエッセイの大ファンなんです。エピソードはもちろんのこと、俳優や脚本家の分析も鋭くて、こんなドラマの愉しみかたがあるのか! と。

柚木 すごく頑張って書いているので、本当に嬉しいです。

酒井 たとえば、昨年話題になったドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』の脚本家・坂元裕二さんにスポットを当てた回など、最新作から過去作までを取り上げ、細かなシーンの引用まで……。すべて覚えているんですか?

柚木 基本的には記憶していますが、原稿を書く前に観返したり、原作本を手に入れたりして確認しています。

酒井 取り上げているのは日本のものがメインですが、韓国ドラマなどはご覧になりますか?

柚木 『愛の不時着』(2019年)などの話題作は観ましたが、私はあえて日本のドラマを観ようと思っていまして。

酒井 というと?

柚木 今の日本のドラマ界は、視聴率の低下→スポンサー収入ダウン→予算削減という負のスパイラル状態。でも私が子どもの頃のドラマは予算をふんだんに使って、熱気があって面白かったんです。下火になった今でも、まだ光明があるんじゃないか、誰もふれていないブルーオーシャン(未開拓の領域)があるんじゃないかと信じている、といいますか……。

酒井 もはや使命感のようですね。