理子 与えられた時間を大切に過ごしたいと思うし、それぞれ育ってきた環境は違うけれど、自分の家族を大切に思う気持ちは同じだから。ただしこの2年間、夫には《おしおき》として誕生日プレゼントはあげていません! 態度が悪いから。(笑)

 あいつ、何か言ってる?

理子 何も言わないけど、地味に傷ついているかもしれない(笑)。あっ、噂をすれば……本人がキッチンに現れた。

 おっ、卵かけご飯の用意をしてるぞ。納豆も。

理子 朝ご飯くらいはいつも、自分でやってもらっています。自由に動いて、くっつきすぎず、ほどよい距離感を保つ。それが我が家流。

 オレがこの先もし一人残っても、放っておいて大丈夫だよ。一人で自由にやるから。

理子 でも、パパは根が寂しがり屋だから無理だと思うよ。考えてみたら、私は結婚してからのほうが、親との距離がより近くなった気がする。子どもたちを介して触れ合う時間も増えたしね。私を育ててくれた父と母が、今度は孫を見守ってくれて……新しい親子関係が始まった感じね。

 監督業を引退したからって家でじっとしているより、孫の送迎でもなんでも、役目があるのはいいものだね。張り合いになって、エネルギーが湧くよ。

理子 まぁ、パパもいろいろあるけど、家族には愛されてるよね~。

 おいおい、心の中では、カミサンに悪いなぁと悔やんだり痛みを感じたりしているんだ。石田もそうかもしれないよ。元気出そうと思ってか、今、卵かけご飯なんて食べてるけど、心では痛みを感じていると思うよ。

理子 アハハハ。妙に理解者になってるじゃない。まぁ、これまで自由に楽しく生きてきた親なので、この先も、そのままでいてほしいな。介護が必要になったら、私がなんとかするから。「迷惑かけないように」なんて、思わなくていいからね。