イラスト:花くまゆうさく
離れて暮らしていると、親や家族に関する心配の種をつい放置しがち。しかし、しっかり向き合い情報を集めれば、必ず解決策が見つかります。今回のお悩みは…(イラスト=花くまゆうさく 構成=上田恵子)
《質 問》
ひとり暮らしの母が、転倒して自活が困難に。年金暮らしで貯金もなく、私も金銭的にゆとりがありません(62歳・パート)

 

《プロの回答》

回答者:畠中雅子(ファイナンシャルプランナー)

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特養は混んでいて100人待ち?

まずは介護認定を受けないことには始まりません。お母様の住んでいる地域の「地域包括支援センター」に相談し、介護認定を受けることから始めましょう。センターでは介護や高齢者の生活に関する相談はもちろん、介護保険など各種保険や福祉サービスの手続きの仕方なども教えてもらえます。

センターがどこにあるかわからない場合は、役所に問い合わせてみてください。親の家の近所で介護を受けている方がいたら、ご家族経由でケアマネジャーさんを紹介してもらうのもいいと思います。

認定を受け、要介護度が3以上だった場合は「特別養護老人ホーム(特養)」への入所申請ができます。よく「特養は混んでいて100人待ち」などと言われますが、それは大都市に限った話。たとえば東京在住の人なら少し範囲を広げて千葉県や埼玉県に目を向けると、ほぼ待機なしの施設が見つけられるケースも。

特養の料金は親の収入と介護度で決まり、収入が少ない人は負担額も軽い仕組みになっているので、年金内で賄えることも多く、費用についてはさほど心配する必要はありません。また、築数十年の古い施設も新築の施設も料金は同じなので、親の希望によってはそのあたりも考慮するといいでしょう。

問題は、要介護度が1、2だった場合です。特養には申し込めず、介護付有料老人ホームは高額。では自宅で家族が看ればいいかというと、それも難しい。特に認知症の場合、足腰がしっかりしている人が多く、徘徊などするため目を離せないからです。要介護2のまま、介護期間が長びくケースも多々あります。