2021年4月、ライザップでダイエットを成功させ、CMなどに出演した元日本テレビアナウンサーでタレントの大神いずみさん。プライベートでは読売巨人軍のコーチ、元木大介さんの妻であり、2人の球児の母でもある。ターンテーブルで回るため、苦しいダイエットをしている最中に、長男が大阪の高校で野球をやるため受験、送り出すという決断をしている。夢と希望にあふれてスタートした高校生活はコロナや怪我で思わぬブレーキがかかった。球児の母として伴走する大神さんが、この2年を振り返る。
野球の日の晩御飯は地獄…
「早く道具磨いてお風呂入んなよ」
夫・元木大介の怒りを買う野球をした日、試合が終わって家に帰ってもガックリ肩を落として黙り込んでいる次男の瑛介に、母は何もなかったようなテイで、軽く弾んだ声をかける。
これから囲む夕飯の食卓は、冷蔵庫を開けたときのようなひんやりと重ーい空気に包まれることは、ほぼ間違いない。どんなに息子たちの大好物を並べ上げた夕食だったとしても。
母はこれを、どーにかなんとかしたいのだ。
夕食が始まっても言葉数が少なくて、大好きな焼肉なのに息子の箸が進まない。今日はちょっといいお肉にしてみたよ、はい、これ食べてみ、こっちのお肉脂身が少なめ、えっと、こっちは……。
「きょうのあの構えは何なん!?誰のモノマネなん?あんなんで打てると思うとったんか!!で、三振した後のあのふてくされた態度は何や!!?」
母の安らぎトークを容赦なく破壊する、父親の言葉の一撃。目から星級の、鋭いゲンコツみたいな衝撃。ひぃぃぃ…怒られているのは私ではないのに、なんかごめんなさい!と私の口から謝ってしまいそうである。
いつもは米飛沫をあげてカッ喰らう茶碗飯も、今日の息子は淡々と口へ運んでいく。
こんなことが土日祝日繰り返されていくうちに、いつの頃からか私は「あ、これ今日の夕飯は地獄…」と思いながら試合を見るようになってしまった。ヨコシマな母で申し訳ない。でもいつだって本当は、野球の日の晩御飯は誰も夢中で話をしない「カニ鍋」にできたらいいなと思っている。
ああ、またそんな季節がやってくるなぁ。