30年の歳月を経てよみがえった

高橋 福井商工会議所青年部のみなさんが見つけてくれたそうですね。

五木 本当によくぞ見つけてくださいました! 感謝の気持ちでいっぱいです。
去年、彼らがネットで検索していたら「恐竜体操」がヒットしたので、そこに新しい振りを付けて、福井駅前で毎週踊ってくれていたそうです。

その話を聞いたら、福井出身としては踊らないわけにいかないよね。ましてや、僕の歌なんだから!(笑) それで同じ福井県出身の愛ちゃんに声をかけて、がんばってYouTubeで配信しようと思ったわけです。

高橋 30年前は宣伝も何もしていなかったこの作品が、30年の歳月を経て、よみがえったんですね。

五木 この曲が発売された1994年秋の直後、1995年1月に阪神淡路談震災が起こったんだよ。そこで僕は5月から被災地の幼稚園を回ってこの曲を披露したりしたんだ。自分の子どももまだ小さかったから、他人事じゃなかったんだよね。子どもたちに元気になってほしかったから。
そしたら、その活動を知った当時の兵庫県知事から、長田地区で野外コンサートをしてくれないかという申し出があって、もちろん引き受けた。
周りはまだがれきがいっぱいで震災の爪痕が色濃く残っていたから、こんな環境でいったいどのぐらいお客さんが来てくれるのか不安ではあったけれど、当日、野外ステージに出てみたら、なんと1万人もお客さんが集まっていた。目の前のいっぱいのお客さんの姿を見たら、こみあげてきて1曲目から涙があふれて…昨日のことのように覚えてるんだ。

高橋 五木さんの歌声、たくさんの人の心に響いたでしょうね。

五木 当時、被災地の数か所でも「心のコンサート」を開催しました。以降、その時の気持ちを忘れずにコンサートを続けているんだよね。

高橋 大切にしていきたいですね。それなのに「恐竜体操」を忘れてたって、どういうことですか?(笑)

五木 面目ない!(笑)。福井駅で大きな恐竜を何度も見ているのにね!でも当時はなかったんだよ。
しかし、30年前に無意識のうちに「種まき」をしていたってことだね。今回は、知らない間の種まきが実って、実を結んだということかな?

高橋 この曲が福井県の応援ソングになるとうれしいですね。

30年前に発売された「平成のDO YO」のCDと絵本