イメージ(写真提供:写真AC)
「仲良く」なんて望まない。ほどほどのつき合いを保てればいいけれど、そうもいかないのが夫のきょうだいとの関係だ。ときに災いの種となり、敵となって行く手に立ちはだかる小姑・小舅たち。妻にとっては他人でも、夫にとっては血のつながりがあるだけに厄介で……。エミさん(仮名)の場合、相続がもめるきっかけになりました。(取材・文=福永妙子)

金はまったく出さないが、無責任な口出しはする

きょうだいでモメる大きな理由の一つが「相続」。当事者は夫のほうでも、妻もまた、否応なしにその渦に巻き込まれる。「3年戦争でした」と言うエミさん(59歳)の場合は、精神的にも深い傷を負った。

夫は男、女、女、女、男という2男3女の末っ子。夫の両親は、子どもたちが結婚し独立したあと、夫婦二人暮らしだったが、義父が亡くなり、義母が一人になったところで、次女が母を引き取った。けれども、ワンマンな夫のいる次女宅では義母も遠慮がある。そうしてエミさん夫婦が義母を迎え入れた。

「同居後、何年かして義母は糖尿病、がんと次々と病気をし、認知症の症状が出始め、やがて一気に進みました。83歳で亡くなりましたが、そこからが、戦争の始まりでした」

義母の存命中から兆しはあった。義理の姉である次女と三女は、ことあるごとにエミさんに敵対意識をむき出しにした。義母は預金のほか宝石類も持っていたし、実家の土地家屋も不動産として残っている。次女、三女は、弟夫婦が母親を引き取ったことで、その財産を自由にされることを恐れていたのだ。

義母が入退院を繰り返すとき、次女、三女の義姉たちは金はまったく出さないが、無責任な口出しはした。そして近所の人たちがエミさんのことを「お姑さんの面倒をよくみてるわね」とほめると、不機嫌になって、エミさんに当たるのだ。

義母が亡くなり、きょうだいで遺産相続の話し合いの場を持ったときのこと。宝石類は次女、三女に欲しいものを取ってもらい、家はエミさんの夫の名義になることが決まったが、お金の話になると、次女、三女は理解不能な計算式で、分ける金額を出してきたのだ。

長兄と長姉には「母のことでは何の役にも立っていない」ということで、それぞれわずかな金額を提示。夫の分も決めてあり、自分たちがもらう分は、かなり大きな金額を提示してきた。