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病気や自然災害、家庭のトラブル。困ったときに救いの手を差し伸べてくれるのは、心を許した友人か、家族か──。もしかしたら、まったく予想もしなかった人かもしれません。会社員の香苗さん(仮名)はある時、医師から「放置すれば余命3ヵ月」と宣告を受けてーー。(取材・文=武香織)

「空いている部屋があるから、うちにいらっしゃい」

いざというときこそ、自分に必要な人間関係が見えてくる。私は今、そう確信している。

息子が中学生時代に起立性調節障害という病気を患い、その体験を綴った本を9年前に上梓した。2年前、一人の読者からお手紙をいただいた。奈良県に暮らす愛子さん(80歳)。事情により自ら育てている中学生の孫が、同じ病気なのだという。

高齢でありながら、孫と真摯に向き合い孤軍奮闘する彼女のエネルギーに感銘を受け、少しでも力になりたくて、自宅の住所をお伝えした。以来、私たちは途切れることなく手紙を交わしている。

ところが、この文通だけの関係だった愛子さんから、私は多大なるアシストを受けることになる。

いっこうに収まらない更年期の症状や仕事への不満など、いくつもの澱が蓄積して心がはち切れそうになった昨年末。ふと「しばらく田舎のほうで療養するつもり」と彼女に漏らすと、「それなら空いている部屋があるから、うちにいらっしゃい」と言ってくれた。

そのお言葉に甘え、半年前から愛子さんのお宅に居候させていただいている。優しいご家族と豊かな自然に囲まれて、体調の回復を少しずつ実感する今日この頃だ。

意外な人に救われた経験は、大なり小なり誰にもあるはず。実際に思いがけない相手から手を差し伸べられたという方たちに、お話を伺ってみた。