とにかく正代が心配

しかし、高安は破れてしまった。高安はこれまでも優勝の文字がちらつくと失速してきたが、今場所は別人のように落ち着きを見せていた。が、対戦相手が悪かった。

正代は、あと1勝しなくては大関を落ちる立場で、珍しく顔を赤く上気させて登場してきた。さらに正代は「個性的相撲道」を貫いているから、過去にも優勝争奪戦で盛り上がるところを、空気を読まないで勝ったことがある。盛り上がりを削ぐ技があるのだ。

後半戦の星のつぶし合いは、日々怠けようとする私の脳のトレーニングになった。
11日目、9勝1敗の若隆景と10勝の高安の対戦。どちらが勝つか?と思いながら、次の取組のカド番の正代が心配だった。若隆景が得意のおっつけからもろ差しになり、高安に勝ち1敗で並んだ。この日、正代は前頭5枚目・宝富士を突き落とし6勝になったが明日も心配。

12日目、星のつぶし合い対決、若隆景と琴ノ若は若隆景が寄り切りで勝ち、琴ノ若は3敗。それを見つつ、カド番の正代が心配。11日目に8勝してカド番を脱出した貴景勝との大関対決が組まれ、正代が勝ったがまだ7勝で心配。結びは高安が御嶽海を寄り切り、1敗を守り、この時点で2敗はいなくなった。

13日目、御嶽海が若隆景を寄り切り、若隆景が2敗に後退。御嶽海は新大関としての目標である二桁勝利10勝をかなえた。次に、高安が貴景勝と突っ張りの激闘のすえ、上手投げで破り、ただ一人12勝1敗となった。その激闘を見つつ、結びの正代が心配。

案の定、正代は琴ノ若に押され、カド番脱出はならず…というわけで、正代が気になって、気になって、優勝争いに浸れなかった。