2022年7月10日、愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)で始まった大相撲名古屋場所。2年半ぶりに観客席の上限なしとなった今場所は、盛り上がりつつも波乱の幕開けに。その後、多くの力士がコロナ感染のため休場が続出することとなった。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。

前回「敵は新型コロナウイルスにあり」の波乱の名古屋場所。優勝は照ノ富士か、逸ノ城か、追う貴景勝か。正代に座布団が飛んだ14日目 はこちら

全力士の約3割が休場

大相撲名古屋場所は、新型コロナウイルスの影響で13部屋の力士が休場という大混乱のなか、前頭2枚目・逸ノ城が12勝3敗で初優勝した。平幕の優勝は昨年初場所の大栄翔以来である。逸ノ城は3回目の殊勲賞も獲得。敢闘賞は新入幕の前頭17枚目・錦富士が受賞した。技能賞の該当者はなかった。

今場所はコロナ禍で全力士の約3割が休場となり、怪我を含め関取は23人休場という戦後初の記録となった。よくぞ15日間を耐えた。休場した力士は本当に気の毒だが、この混乱のなか、集中して勝負に挑んでいる力士が神々しく見えた。

千秋楽で逸ノ城は、勝ち越しをかける前頭3枚目・宇良を堂々と寄り切り3敗を守った。これで横綱・照ノ富士が4敗の大関・貴景勝に勝てば優勝決定戦になる。

照ノ富士と逸ノ城は同じ飛行機でモンゴルから日本に来た。身長は192センチと同じで、体重は照ノ富士が181キロ、逸ノ城は211キロで幕内最重量である。迫力ある優勝決定戦が見られると期待した。ところが、照ノ富士が貴景勝に押されて土俵から左足を出してしまった。「なんで!」と叫んで、テレビの前に呆然と立った。