企業が変わらなければ男性の育児は変わらない

シンプルに結論を言えば、日本の父親は「仕事関連時間が長いから、家事・育児の時間が削られている」のである。

むしろその悪条件の中で、家事・育児に奮闘している。

根本的な原因は「仕事」なのだ。イクメンプロジェクトにおいても、「企業が変わらなければ男性の育児は変わらない」と結論付けられているが、まさにその通りである。

企業が変わらなければ男性の育児は変わらない(写真提供:Photo AC)

では実際に仕事時間をどの程度にすればいいのだろうか。

竹原氏らは別の論文で、「父親が家事・育児に(政府目標である)150分の時間を確保するには、仕事関連時間(仕事+通勤)を9.5時間未満にする必要がある」という研究成果を発表した*3。

内訳としては、「(2)睡眠+食事(1次活動)」が10時間、「(4)自由時間」が2時間であり、残りの12時間から家事・育児の150分を引くと9.5時間になる。

*3 大塚美耶子、竹原健二ほか「末子が未就学児の子どもを持つ父親の労働日における生活時間」、厚生の指標、68;15,2021/12,24-30