人は常にアップデートしていく必要がある

そんな風に、昭和の価値観をアップデートするという設定の中で、初歩的な部分だけでなく、かなり踏み込んだところを描いている。このドラマでは、誠が常に内省し、アップデートして部下や家族が喜んでくれたと思ったら、また失敗をして誰かを傷つけてしまう。そしてまた自らを奮い立たせ、アップデートしていく。その繰り返し。

1回アップデートしたからって、一件落着、とはならず、誠は周囲から結構スパルタなしごき方をされる。それを見ながら、なかなか手厳しいな、と最初は思ったが、現実でも、人はやはり常にアップデートしていく必要がある。古い価値観を捨てなければ、傷つけてしまう人がいることを思うと、これくらいで十分、なんてことはなくて、その旅に終わりはないのだ。

写真提供◎AC

そんな非常に誠実なドラマ、おっパンの中でも、印象的だったのが第7話「コンプラって何」。学校に行けない日々が続いていた翔が、公園で同級生の男子、ファミレスで女子とそれぞれ談笑しているのを見かけた誠が、もしかしたらどちらかが翔の思い人なのではないか、と考えるようになる。同性が好きな人への偏見をなくす努力をした誠は、翔にどんな人を好きなったっていいんだぞ、と伝える。

それに対して、翔は言うのだ。

「どうして、どうして誰かと仲良くしてると、すぐに好きとか、付き合ってるのか考えるの。そういうふうに決めつけられると、苦しくなる。僕は、ただ一緒にいたい人と一緒にいて、話をしたり、いろんなことを教えてもらったりしたいだけなのに」