夫がいたら、絶対しなかったこと。でも寂しさを埋めるにはちょうど良い――(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
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継続は力なり

夫はパチンコ、競馬、賭け麻雀などのギャンブル一切を嫌っていた。私は興味津々だったが、夫に遠慮して、40年以上の結婚生活でそれらに親しんだことはない。

だが、4年前に夫が亡くなって落ち込んでいた私を、友人が健康麻雀に誘ってくれた。女性の先生が初心者を募っていて、そこでは酒、たばこ、賭けることは禁止、昼食が付いてくるというので、喜んで参加。丁寧に手ほどきを受けた。

麻雀のあと、先生が手早く作ってくれるおいしい料理に魅かれて2年近く通った。やっと用語を覚えたが、面白いと思うまでには至らず。そのうちコロナの影響で中止になったので、それでいいや、と思っていた。

ところが、地域交流に熱心だった夫亡き今、麻雀教室が中止になったことで、まるで陸の孤島のように情報が何も入ってこなくなってしまい、寂しさに襲われた。

ようやくコロナが収まってきて町内会の麻雀に誘われたので、認知症予防になるし、友達ができるかもしれないと思い、初心者クラスに参加。中級に移った友人にも励まされて続けるうちに、だんだん楽しくなってきた。「継続は力なり」と子どもにさんざん言ってきた言葉を、今頃自分につぶやいている。

この頃は競馬にも誘われ、日曜日はテレビにくぎ付け。そのうち競馬場デビューでもしようか。

夫がいたら、絶対しなかったこと。「あなたのいない寂しさを埋めるにはちょうどいいのよ」と仏前に報告している。


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