母がいないほうが平和→父が不倫

暴君のような母は友加里さんが小学生の頃、父に資金を出させて喫茶店をはじめた。素人経営ながら近くにあった工場の客を取り込んで繁盛すると、家のことにはほとんど構わなくなった。

母の代わりに父と友加里さんが家事を分担し、休日には父と一緒に映画館やプールに出かけた。まるで父子家庭のようだったが寂しさはなく、「母がいないほうが平和でした」と振り返る。ところが高校生のとき、思わぬ事態に直面した。父の不倫が発覚したのだ。

「父なりの事情があったかもしれませんが、思春期の私は到底許せない。もちろん母は激怒し、父は家を出て相手の女性と暮らすようになったんです。以来、私と母の関係も変わりました。父の裏切りという共通の苦しみが、女同士の結束を強めてしまった感じです」

友加里さんは母の喫茶店を手伝うようになり、客の一人だった今の夫と結婚。娘と息子を出産後も時間をやりくりして働いたが、次第に母への不信感が募っていった。

小遣い程度の給料しか得ていなかったが、子育てには何かとお金がかかる。母に支払いを頼むと、逆に夫の収入の少なさをバカにされたり、「アンタの名義で貯金してある」と嘘をつかれたり。思い余って手伝いをやめると自宅に押し掛けられ、子どもたちの前でさめざめと泣かれるからたまらない。