酒呑童子絵巻の知られざるエピソード・ゼロも大公開

日本人が古来より語り継ぎ、現代のマンガやアニメにも息づく存在、鬼。なかでも「酒呑童子(しゅてんどうじ)」は、日本で最も名高い鬼といっても過言ではありません。
平安時代、都で貴族の娘や財宝を次々に略奪していた酒呑童子が、武将・源頼光とその家来によって退治されるという有名な鬼退治の物語は、室町時代から江戸時代にかけて人気を博し、絵画や能などの題材となって広く普及しました。

本展の注目作品である重要文化財『酒伝童子絵巻』(サントリー美術館蔵)は、江戸時代を通して繰り返し書き写され、伝えられた、いわば《図様のはじまり》といえる貴重な絵巻です。大永2年(1522)に北条氏綱の依頼により、幕府御用絵師であった狩野派の2代目・狩野元信によって描かれました。
この絵巻は、酒呑童子の住処を丹波国大江山、近江国伊吹山とする2系統のうち、伊吹山系最古であるとされています。そしてその図様(絵)は、酒呑童子を題材にした能の演出にも影響を与えたと考えられているそうです。

これまでは絵巻の状態が悪く、十分に展示することができていなかった『酒伝童子絵巻』でしたが、2020年に解体修理を終えついに大公開。サントリー美術館史上最大規模の展示で、物語の全容を通覧できます。

重要文化財 酒伝童子絵巻(部分) 狩野元信 三巻のうち下巻
大永2年(1522) サントリー美術館 【通期展示】
重要文化財 酒伝童子絵巻(部分) 狩野元信 三巻のうち上巻
大永2年(1522) サントリー美術館 【通期展示】

さらに、狩野元信の『酒伝童子絵巻』とほとんど同じ内容を含みながら、酒呑童子の生い立ちを大胆に描き加えた絵巻が、近年相次いで発見されています。
たとえば、ライプツィヒ・グラッシー民族博物館蔵の住吉廣行筆『酒呑童子絵巻』は、明治10~15年(1877~82)にドイツ人医師が祖国へ持ち帰ったため、これまで日本ではほとんどその存在が知られていませんでした。本展では、ドイツに渡って以来初めての里帰りとなるこの絵巻が出品されます。

酒呑童子絵巻(部分) 住吉廣行 六巻のうち第一巻
天明6~7年(1786~87)頃 ライプツィヒ・グラッシー民族博物館 【通期展示】
OAs 04826, GRASSI Museum für Völkerkunde zu Leipzig, Staatliche Kunstsammlungen Dresden, Foto: Shirono Seiji

また、サントリー本『酒伝童子絵巻』とライプツィヒ本『酒呑童子絵巻』はどちらも姫君の嫁入り道具であったという共通点があることから、酒呑童子絵巻が婚礼調度として好まれた背景にも迫ります。

《図様のはじまり》と《鬼のはじまり》、そして婚礼調度としての人気の《はじまり》に焦点を当てて繰り広げられる、鬼退治物語の歴史と多様な展開を、ぜひこの機会にお楽しみください。


【応募締め切り日】5月7日(水)
※当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます
※本プレゼントは5月8日頃の発送を予定しています。会期をお確かめのうえ、ご応募ください

 

■開催概要
「酒呑童子ビギンズ」
会期:4月29日(火・祝)~6月15日(日)
 ※作品保護のため、会期中展示替を行います
 ※本展は撮影禁止です
開館時間:10時~18時(金曜日は10時~20時)
 ※5月3日(土・祝)~5日(月・祝)、6月14日(土)は20時まで開館
 ※いずれも入館は閉館の30分前まで
休館日:火曜日(4月29日、5月6日、6月10日は18時まで開館)
会場:サントリー美術館(東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階)
≪東京ミッドタウン[六本木]までのアクセス≫
 都営地下鉄大江戸線「六本木」駅出口8より直結
 東京メトロ日比谷線「六本木」駅より地下通路にて直結
 東京メトロ千代田線「乃木坂」駅出口3より徒歩約3分
 ※10時~11時は、1階の「GALLERIA (ガレリア)」入口からご入館ください。
入館料:一般1,700円、大学生1,200円、高校生1,000円、中学生以下無料

主催:サントリー美術館
協賛:三井不動産、鹿島建設、サントリーホールディングス
助成:公益財団法人野村財団
協力:国立能楽堂

●公式サイト:https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2025_2/index.html

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