「一般職」消滅
時代の流れに合わせた、 銀行の職種改革
2018年3月に、三井住友銀行が「一般職を廃止し、総合職に一本化する」と発表しました。2020年1月の移行を目指すそうです。
一般職とは、主に事務の仕事をする職種で、基本的には遠方地への転勤がないかわり、昇給や昇進が限定されるため、女性が多く採用される傾向がありました。総合職は、その名の通り総合的な判断を要する業務に取り組み、将来的には会社の中核を担うことになります。
三井住友銀行が一本化を決めたのは、「職種を分けて採用する」メリットがなくなったため。いまや事務仕事の多くはAI(人工知能)に取って代わられようとしており、派遣社員を雇い業務をアウトソーシングすることも当たり前になりつつあります。
いま、銀行が求めているのは、「利益」を生み出せる人材。AIがどんなに優秀でも、収益を上げる仕組みをプランニングし、実行するのは難しいからです。企業側の本音としては、「せっかく正社員として雇うのだから、継続的に利益を生む仕事をしてほしい」というところでしょう。働く側にとっても、仕事の選択肢が広がるので、悪い話ではありません。
かつて、一般職で採用された女性は、その後「寿退社」するケースが多かったのですが、いまは共働きでないと家計が苦しい時代。長く働くのであれば、単純な事務作業よりも、キャリアを積み上げられる仕事のほうが昇進のチャンスは広がります。企業と労働者の利害が一致しはじめたといえるでしょう。
すでに地方銀行の一部では一般職が廃止されています。三井住友銀行の決断に、ほかのメガバンクも追随するのではないでしょうか。(荻原博子)
コンビニおにぎりの進化
製法リニューアルを競うほか、目新しいヒット商品も
2019年2月、セブン-イレブン・ジャパンが手巻おにぎりを全面リニューアルしました。米粒のサイズに合わせて精米の度合いを変えるという徹底ぶりだそう。食べてみると、ツナや海老などの具材を和えるマヨネーズの味にもコクが出た印象があります。
コンビニのおにぎりって40年以上売られている成熟商品です。と同時に、常に売れ筋の商品であり、各社が改良を重ねてきた歴史があります。たとえば1980年代には、手を触れることなくご飯を海苔でくるむことができるパッケージが登場しました。
具材も進化の一途です。ファミリーマートは2010年、コンビニ業界では初めてツイッターで消費者からアイデアを募集し、実際に商品化する取り組みが話題を呼びました。
200円近い高級路線のおにぎりも定着していますね。先駆けとなったのはローソンでした。現在も同社は「厚切り牛タン」、「熟成すじこ醬油漬」などの商品を展開しています。
ここで思うわけです。コンビニおにぎりが、移り変わりの激しい食品業界でこれだけの存在感を保ち続けるのはすごい話だなあ、と。国内のコンビニでは年60億個も売れているらしいですし、セブン-イレブンではこの5年で年20億個から22億個に伸びている。
国内のコメの消費量が年々減っているなかで、なぜコンビニおにぎりは元気なのか。ひとつは、全国にいまや約5万8000店と増え続けているコンビニの“数の力”。さらには“手軽さ”でしょう。別の話で言えば、緑茶市場が伸び悩んでいるのに、ペットボトルの緑茶のニーズは堅調。それと同じですね。ご飯を炊いたりお茶を淹れたりって面倒ですから。
手間いらずで口にできる商品だけに、高齢者が増える今後もさらに伸びそうです。(北村森)