
昨年、デビュー40周年を迎えた菊池桃子さんは、2012年から大学で教鞭を執っています。大人の学び直しや好奇心の大切さ、AI時代のエネルギーについてなど、さまざまに語り合いました
一人の女性として「長い旅」の途中
竹内菊池さんには、9年前の2016年にもこの対談企画にご登場いただきました。その後も多方面でご活躍なさっていますね。24年は、デビュー40周年だったとか。
菊池はい。今年4月まで、「周年イヤー」として、記念ライブやイベントを行わせていただきました。懐かしい曲ではファンの皆さんが一緒に歌ってくれたり、当時の振りもしてくださったりして、嬉しかったです。私自身が好きな曲でもあるのですが「Say Yes!」は、「日々いろいろなことがあるけれど、ポジティブに生きていこう」というメッセージが込められた曲で、観客席からとても高い熱量を感じました。
竹内節目の年に、どんな気持ちでステージに立たれたのですか?
菊池高校生の時にこの仕事を始めたのですが、その頃から同じ時代を歩んできたファンの方に感謝の気持ちを届けたい、という強い思いがありました。意外だったのは、最近日本の1980年代の曲がブームとなり、ネット配信も増えたことで、10代の方や海外の方も来てくださったこと。昔からのファンの方々と一緒に、新しいファンの方を迎える形になったのが面白かったし、嬉しかったです。
竹内ファン層の広がりを見ると、歌の持つ力を感じますね。40年を振り返って、どんなことをお感じになりますか?
菊池よく「数十年はあっという間」とおっしゃる方もいますが、私の実感は違います。一人の女性として、結婚・出産・子育てというライフステージの変化もありましたし、昭和からの時代の変貌ぶりを思っても、ずいぶん長い旅をしてきたな、という気持ちです。
竹内菊池さんは、芸能生活を送りながら大学院で学ばれて、12年からは、母校で教鞭も執っておられます。そんな濃密な時間を過ごしているから、余計にそう感じるのかもしれませんね。現在は、認定NPO法人「キャリア権推進ネットワーク」の理事としても活躍なさっています。「キャリア権」とは何ですか?
菊池ひと言で言えば、職業生活を通じて幸福を追求する権利のことです。仕事をするのは心身ともに大変なことですが、そこにはほかでは得られないやりがいや充足感、自らを成長させる機会があります。働くことで、みんながポジティブになれる社会の実現を目標に、海外の働き方なども参考にしつつ議論を重ねて、政策提言なども行いたいと考えています。
竹内新しいキャリアに挑戦するなかで、仕事と家庭の両立は大変だったのではないですか。
菊池大学院に入ったのが40歳くらいで、子育てもまだ終わっていませんでした。ただ、当時は多少の寝不足くらいはなんとかなっていましたが、いま同じことをしようとしても、たぶん無理です。(笑)