島国であることも考慮したエネルギー政策が必要

『竹内薫の暮らしにもっとサイエンス』竹内薫
バランスよく組み合わせる「エネルギーミックス」が求められます

竹内現在、「大阪・関西万博」が開催されていますね。先日私も行ってきたんですよ。未来を感じさせる展示がたくさんあり、中でも「電力館 可能性のタマゴたち」(電気事業連合会のパビリオン)は、「核融合」や「振動力発電」「無線給電」など、約30種類の未来のエネルギーを体験しながら楽しく学べる展示となっていました。

菊池たくさん種類があるのですね! エネルギーや電気は生活に欠かせないものですが、目に見えないしふだん意識はしませんから、楽しく学べるのはいいと思います。

竹内おっしゃるように、エネルギー、そして電気は私たちの暮らしになくてはならないものですが、今後は、さきほども話に出たAIの普及、DXの進展などにより、電力需要の大幅な増加が予想されています。また地球温暖化対策の観点から、発電時のCO₂排出量の抑制も避けて通れない課題です。

菊池それらを同時に達成するために、何が必要なのでしょう?

竹内今年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」では、太陽光、風力などの再生可能エネルギー(再エネ)とともに、原子力発電を最大限活用していく、とされました。両者を対立軸でとらえるのではなく、両方を活用する方針が示されたのは、画期的なことだと感じます。一方、火力発電についても、引き続き電力の安定供給に必要な電源として位置付けられています。また、火力発電には、発電量が天候などに左右される再エネをバックアップする、という重要な役割もあるんですよ。

菊池そうなんですね。日本は、エネルギー資源に乏しい国だとも聞いています。

竹内日本は、資源の8割以上を海外に頼っており、エネルギー安全保障の観点からも大きなリスクを抱えています。ロシアのウクライナ侵攻のように資源国で紛争が起きたりするとエネルギーの価格や供給に影響が出たりします。資源が乏しい日本では、再エネや、燃料を長期間使え、国産として扱われる原子力の比率を高めていくのは大事なことです。

菊池日本は、日本に合ったやり方でエネルギー政策を考えていくことが必要なのですね。

竹内島国である日本は、いざという時に近隣同士で電気を融通し合える国々とは事情が違います。安定供給を維持するためには、特定の電源に依存するのではなく、再エネ、原子力、火力それぞれの特性や役割を考慮してバランスよく組み合わせる「エネルギーミックス」が求められるわけです。

菊池バランスよく活用していくことが大切なんですね。

竹内最後に、菊池さんの、次なる50周年に向けた思いをお聞かせ願えますか。

菊池いま力を入れているのが、新曲作りです。昔の曲のブーム再燃も嬉しいですし、新曲も時代を超えて聴いていただけたらいいな、という期待を込めています。

竹内多くの人の心に残る曲を作り続けてください。本日はありがとうございました。

菊池 桃子

菊池 桃子(きくち ももこ)

1968年東京都生まれ。84年に俳優、歌手としてデビューし、映画やドラマ、ラジオなどで活躍。2012年からは戸板女子短期大学の客員教授を務める。認定NPO法人「キャリア権推進ネットワーク」の理事。デビュー40周年記念ベストアルバム『Eternal Best』が発売中

竹内 薫

竹内 薫(たけうち かおる)

1960年東京都生まれ。「科学応援団」としてテレビ、ラジオ、講演などで活躍。2016年、トライリンガル教育を行うYESインターナショナルスクールを開校。25年4月よりZEN大学の教授を務める。『AI時代を生き抜くための仮説脳』など著書多数

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