2025年10月15日

長寿のカギは酪酸菌にあり。筋肉を減らさないために‘菌トレ’を始めよう

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いつまでも健やかに、いきいきと過ごすためには、「貯筋」習慣が必須です。近年、腸内環境を整えることでより効率的に筋肉を維持できることがわかってきました

体にいい効果をもたらす
「マイオカイン」

加齢とともに私たちの筋肉量や筋力は低下していきます。すると外出が億劫になり、活動量は減少。動かないため食欲が湧かず、ますます筋肉の量も減るという悪循環に陥ります。

こうした状態が続くと、足腰が弱って日常生活に支障をきたすのはもちろん、寝たきりになるリスクが高まることに。つまり、いくつになっても自立した生活を送るためには、筋肉量を維持することが重要なのです。

「実は、筋肉の働きは体を動かすことだけではありません」と話すのは、消化器専門医の江田証先生。

「呼吸をする、食べ物を飲み込むといった動作もすべて、筋肉が支えています。このほか熱を産生して体温を保持したり、血液を循環させるポンプとなったり。体によい働きをするホルモンを分泌するという重要な役割も担っているのです」(江田先生。以下同)

このホルモンは「マイオカイン」と呼ばれ、健康長寿には不可欠なものなのだそう。

「マイオカインには、脳の認知機能を改善する効果や、動脈硬化を予防して心臓の機能を改善する効果、糖尿病を改善する効果、骨を強くする効果も。さらには、がんを防いだり抗がん剤の効き目を高めたりする作用もあるとされています。マイオカインは運動で筋肉が収縮するときに骨格筋から分泌されるため、筋肉を維持することが絶対不可欠といえるでしょう」

筋肉量腸内環境
密接に関係している

筋肉量を増やし、筋力を強くするために必要なのは、適度な運動と食事。とくに、たんぱく質は筋肉を作る材料となるので、肉や魚などを積極的に食べることが大切です。

「加えて、腸内環境を整えることが重要です」と江田先生。

「筋肉と腸は非常に深い関係があり、近年の研究でたんぱく質をたくさん摂るよりも、腸内環境を整えるほうが効率的に筋肉を増やせることがわかってきました。また、腸内環境が悪いほど筋肉が落ちやすく、筋肉量が多いほど腸炎が少ないという研究結果も。つまり、筋肉を増やしたいなら腸内環境を整えるとよく、腸の調子が悪い人は筋肉をつけるとよい、ということ。これを『腸筋相関』と呼びます」

したがって筋肉を増やし筋力を高めるには「筋トレ」と、体によい働きをする善玉菌を増やす「菌トレ」をセットで行うのが効果的といえるでしょう。

生きたまま腸に届く酪酸菌
が強い味方に

善玉菌には、乳酸菌やビフィズス菌などさまざまな種類がありますが、近年注目されているのは「酪酸菌」です。

「酪酸菌は大腸内に棲みつき、水溶性食物繊維をエサに『酪酸』を産生します。酪酸には大腸内を低酸素状態に保ち、酸素を嫌う善玉菌が棲みやすい環境にしたり、大腸のエネルギー源となって蠕動運動を促すなどのよい働きが。酪酸菌こそまさに『究極の善玉菌』なのです」

京都府京丹後市が、古くから日本屈指の長寿地域だということをご存じでしょうか。100歳以上の人口が、全国平均の約3倍。近年、同市で暮らす65歳以上の高齢者を対象に行った研究によると、この地域の高齢者たちは筋肉量が多いこと、さらに腸内に酪酸菌が多く存在していることがわかりました

「酪酸は筋肉を弱める酵素であるHDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)を阻害します。腸内に酪酸菌が多く棲んでいるほど筋肉を維持できるのです」

腸内に酪酸菌を増やすにはエサとなる水溶性食物繊維を摂ることが大切。海苔やワカメなどの海藻類、きのこ類、根菜類、大豆、りんごやアボカドなどがおすすめです。ほかに酪酸菌を直接摂取する方法もあります。

「酪酸菌にはいくつか種類がありますが、大腸まで生きたまま届くのが『宮入(ミヤイリ)菌』という種類。1933年千葉大学の宮入近治博士が発見した、植物の種のような菌です。『芽胞(がほう)』という頑丈な膜で覆われているため胃酸に強く、腸の中で発芽して増殖。有害菌の働きを抑えます。科学的な根拠がしっかりしているため、医療現場で広く活用されるようになりました」

宮入菌を主成分とする市販薬はドラッグストアなどで入手可能です。江田先生のおすすめはミヤリサン製薬の「強ミヤリサン®︎(錠)」。

「すべての病気は腸から始まるといわれます。ふだんからよい菌を摂るといいでしょう。腸内細菌は便に混ざって排出されるので、継続して摂ることが大事。私も毎日服用しています」

“菌トレ”を習慣にして健康長寿を目指しましょう。

*Naito Y, et al. "Gut microbiota differences in elderly subjects between rural city Kyotango and urban city Kyoto: an age-gender-matched study." Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition 65.2(2019): 125-131.

指定医薬部外品

1933年、宮入近治博士によって発見された酪酸菌の一種「宮入菌」を主成分とした整腸薬。芽胞(がほう)という強い膜に覆われているため熱や酸に強く、生きたまま腸へ届く。毎朝スッキリできない、おなかの調子が悪い、便秘や軟便の人に。強ミヤリサン®︎(錠) 330錠 2640円(税込・編集部調べ)

お話を伺ったのは

江田 証(えだ・あかし)/医学博士。江田クリニック院長。

自治医科大学大学院医学研究科修了。日本消化器病学会専門医。テレビや雑誌に数多く登場し、わかりやすい解説が人気。『すごい酪酸菌』『70代、腸内細菌と筋肉で老いを超える』など著書多数

●お問い合わせ/ミヤリサン製薬 お客様相談室
☎0120・1191・91(9:00.17:00土、日、祝日を除く)

イラスト: 小林マキ
取材・文:鈴木裕子
出典=『婦人公論』2025年11月号
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