社会には、支援を必要としている人たちがたくさんいます。地震や豪雨など、災害で家族や住まいを失った人たち、病気や事故で体の不調を抱える人たち、困窮して満足に食べられない子どもたち。世界に目を向けると、戦争で多くの人が犠牲になり、難民や親を亡くした子どもたちも大勢います。地球温暖化による環境問題も、次の世代に重くのしかかる今、遺贈や寄付など、一人ひとりができる支援を考えてみませんか

国連開発計画親善大使の活動を通して

少しでも誰かの応援を。
仲間が増えれば、大きな力に

紺野美沙子

 

1998年から国連開発計画親善大使として活動している紺野美沙子さん。これまでに10の国・地域を訪問し、現地の様子を伝える役割を担ってきました。取り組みを通して感じることは──

訪問先で受けたショック

1999年、カンボジアのエイズ女性のための縫製工場で(C)Shinji Shinoda

国連開発計画の親善大使に就任したのは25年前のことです。仕事の内容は、数年に一度、途上国に視察に行くことで、報酬は年に1ドル。広報担当ですので、取材や講演会にも参加します。最初に訪問したのは、カンボジア。実際に行ってみたら、地雷の問題などについて自分がいかに何も知らなかったかに気づき、愕然としました。子どもが地雷の犠牲になっていると耳にしても、日本で安全に暮らしている自分にとっては対岸の火事だったのです。現地に行ったら、「現実に地球上で起きている出来事なんだ」ということが五感を通じて迫ってきて、立ち上がれないようなショックを受けました。こうして苦しんでいる人がいる、少しでも状況をよくするために努力している人もこんなにいる。それを目の当たりにして、不甲斐ない自分だけれど、微力ながら何かできるこはないだろうか、と思うようになりました。

2000年、パレスチナで、ガザの少年たちと(C)Shinji Shinoda

2回目に訪問したのはパレスチナです。難民キャンプというと、紛争で土地を追われ、身一つで逃げてきた人たちの居場所、というイメージを持っていました。ところが難民キャンプにいる方に「こちらに暮らしてどれくらいですか」と尋ねたら、「50年」と。第一次中東戦争後、ずっと難民のままなんですね。その現実にもショックを受けて、それ以来、中東問題が気になっています。ですから、本当に今の状況というのはつらくて……。少しでも役に立ちたいけれど、何もできない無力感があります。

2004年、東ティモールのホロライキ小学校で(C)Shinji Shinoda

2004年には東ティモールを訪れました。独立したばかりで貧しく、みんな栄養不足で体が小さくて、デング熱も流行していた。電気もガスもないなか、住民が木々を焚き火に使ってしまうと聞いて、植林が必要だと思いました。そこでクイズ番組に、「賞金を獲れたら東ティモールに木を植えます」と言って出演したのです。そうしたら見事に賞金を獲得できて(笑)。賞金の一部は、東ティモールの自然保護と貧困削減のための植林プロジェクトに使われることになり、約30万粒の苗木の種を購入することに充てられました。

『星は見ている』朗読会の様子(写真提供◎グリーンオフィス)

最近は、『星は見ている』という絵本を制作し、語り継ぐ活動に力を入れています。この絵本は広島の原爆で息子を奪われた藤野としえさんの手記で、私は編集に携わりました。朗読会を各地で開催するほか、映像も制作し、ユーチューブで配信したり、朗読のためのDVDと上演台本を無償で提供したりしています。わが子を亡くす悲しみは、世界共通です。一人のお母さんの気持ちを広く知っていただけたらと思って活動しています。

身近なところで支援先を探して

年齢を重ねるにつれ、若い人たちや世の中をよくするための取り組みをしている人たちを応援したいという気持ちが強くなりました。遺贈も選択肢の一つだと思います。興味のあることに少しでも自分のお金を遺す。例えば私だったら、大相撲を継承していくための支援をしたいと思ったりします。地元に緑を増やす活動や子ども食堂など、お住まいの地域に役立つ寄付、クラウドファンディングなど、身近なところから支援先を探すのもよいでしょう。私は30年ほど前から、海外の孤児の里親になっています。一人ずつ支援して、成人などでプロジェクトが終了するとまた次の子にかわるのですが、里子から自筆の手紙や動画が届いて、ささやかですが達成感がありますね。

親善大使を始めた頃は、自分のやっていることは、いい人のふりをしているだけで、偽善なのではないかと悩んだりもしました。でも、どなたかのインタビューに、偽善ではないかと申し訳なく思う気持ちが「善」だと書かれていて。それで少し、自分のなかで納得できたのです。講演会で、「自分には何ができますか」と質問されることがあります。私もオシャレをしたり遊んだりしたいし、家族や友達と過ごす時間は大事。誰しも自分の生活が最優先になることは当たり前だけれど、限られた時間を生きるなかで、一部でも誰かのために使えばいいと思うのです。お仲間が増えていけば、大きな力になります。

紺野美沙子(こんの・みさこ)

1960年東京都生まれ。80年慶應義塾大学在学中にNHK連続テレビ小説『虹を織る』のヒロイン役で人気を博し、以降はドラマや舞台で活躍。2010年より「紺野美沙子の朗読座」を主宰。NHK-FM『音楽遊覧飛行』案内役を担当。22年から横綱審議委員を務める(写真提供◎グリーンオフィス)

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2024年1月31日(水)

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