家を建てて引っ越し、退職まではリモートで

「平屋の2LDK+Den(収納)で、南側には大きなテラスも作ります。居室の一つは寝室。もう一つは客間で、和室にして障子と琉球畳を入れます。収納も充実させて。LDKを広めにして、20~25畳くらいかしら。リビングの段差はおしゃれなんだけど、ルンバも使えないし、20年後を考えて諦めました。バリアフリーにします。全体で25~30坪かな」。ケイさんは楽しそうに、新居の間取りやこだわりについて話します。

テイストはアジアン・モダン。旅行好きのケイさんの、最近のお気に入りのエリアは東南アジア。今の都内のマンションもそうしていますが、新居でも「アジアンテイストの家具を置いて、インドネシアやベトナムで買った絵を飾るつもり」。ケイさんは料理が得意で、コロナ前は友人を招いてホームパーティーをしていました。そのためレシピ本や、ベトナムなどで買ったかわいい食器を大量に持っています。新居には、厳選した食器と本だけ持って行くつもりです。

新築の予算は2000万円でしたが、最近、工務店と話したら、資材価格も人件費も上がっているので2300万円と言われました。大手ハウスメーカーの説明も聞いたところ、予算は4500万円! 100平米超で「あれもつけてこれもつけて」と設備ももりもり。「私は独りだって言ってるのに」。そんな広くても掃除が大変なだけだし、老後の1人住まいには高すぎで、ハウスメーカーは向かないと思いました。なので、地元の工務店2社のどちらにするか、いま思案中です。

『老後の家がありません』(著:元沢賀南子/中央公論新社)

「工期は5ヵ月って言われたので、来年の5月には着工しないと。今年の秋口には図面の打ち合わせを始めて、プランを詰めるって言われたから、あら、もう、工務店を決めて契約しなくちゃ! 引っ越すまで、あと2年もない、もう断捨離も始めなくちゃ! うちにあふれてるモノを、捨てるか、メルカリで売るか、しなくちゃ」

ケイさん、なんともほんわかしています。仕事となると、めちゃくちゃ切れ者のバリキャリなのですが、自分ごとは後回しのようです。定年そのものは2026年の3月ですが、先に家を建てて引っ越しを済ませ、退職までの半年弱はリモートで働くつもりです。今も在宅ワークがメーンで、出社日は月に2日から週1日程度。このくらいの頻度なら、九州から飛行機で通えると目論んでいます。