民間療法にまみれていたあの頃
久保 (焼き魚の弁当を食べながら)私、魚を上手に食べられる自信があったんですよ。サンマもけっこう綺麗に骨を取って食べるんですけど、そんなに魚を食べ慣れてないタイプの子がいて、「魚食べるの面倒くさいから」って、骨まで全部食べるんですよね。「ま、負けた〜!」と思って。
能町 それ負けなの(笑)?
──背骨もいくんですね。
久保 背骨も頭も全部いける、みたいな感じで。
能町 喉に刺さりません?
久保 サンマは焼き方によってはけっこう全部いけるんですよ。ただ、私は骨を飲みこまないのがプロだと思ってたから。昔は何度も何度も喉に骨が刺さって、泣きながらお父さんに箸で取ってもらってて……。
一同 ええ〜!
ヒャダ お父さん器用!
久保 ね。「喉の骨を箸で取る」か、「ご飯を飲み込むか」の2通りだけで生き抜いてきたから。
ヒャダ 「ご飯飲み込み」ありましたね(*)。
*昭和の時代は「喉に骨が刺さったときは、ご飯を噛まずに飲み込むと取れる」という民間療法が広く知られていた。近年では「余計に深く刺さるおそれがある」等の理由で、医学的に否定されている。
久保 昔はありましたよね。あれでやり抜いてたのに、「骨を食う」という選択肢でいく子に、負けを感じちゃった。
ヒャダ Z世代は骨を食う。親がやってくれた変な治療法で思い出したけど、いま僕、ものもらいみたいになってるんですけど、ものもらいになったときは、まぶたをひっくり返して……。
久保 え……?
能町 ん……?
ヒャダ で、髪の毛を抜いて、髪の毛の根っこの毛根の部分でツンツンって突っついて……。
能町 え、怖い。
ヒャダ それで膿を出すという(*)。
*調べると、まぶたではないが「髪の毛を涙腺の穴にさして、ものもらいを治す」という民間療法は存在したらしい。「それで治りました」とコメントしている人もいるが、どういうメカニズムなのかは不明。というか、髪の毛自体にものもらいの原因となる黄色ブドウ球菌が付着していたりもするので、推奨はできない。
久保 あ、膿を出すためか。まあ同じ人体のもので拒否反応が起きないように、ということなのかな? 針だとうっかり刺したら怖いから。
能町 理屈は通ってるけど……でも怖い。
久保 うちはお腹が痛いときに梅酒を飲んでた。水割りにして。「お腹痛い」「じゃあ梅酒飲みなさい」つって。でも検索しても、そんなことやってる人、どこにもないんだよね(*)。
*調べると、民間療法としては存在していたらしい。
能町 メンソレータムってあるじゃないですか。あれってなんの薬ですか?
ヒャダ あれ不思議ですよね。タイガーバームとかも。
能町 うちではメンソレータムは鼻づまりの薬だったんですよ。
一同 ええっ!
能町 私は昔から鼻がつまってたので、「メンソレータム塗っときなさい!」と言われて、鼻の穴の中にメンソレータムを塗りたくって……。
ヒャダ 激スースーじゃないですか!
能町 子供のときは本当にそういう薬だと思ってたの。でも多分、説明書を見たらそんなこと書いてないはずなんですよ。
ヒャダ ないですよね。さすがに粘膜は禁止されてると思います(*)。
*説明書には「効能:ひび、あかぎれ、しもやけ、かゆみ」と記載されており、「次の部位には使用しないでください」の項目に、「粘膜の部分」が入っている。
能町 私はあれをずっと鼻づまりの薬だと思い続けていて、でもあるとき、効能に書いていないと気づいたんですよね。
久保 オロナミンCじゃなくて、なんだっけ……オロナイン?
──オロナインH軟膏。
久保 あれを子供のころによく使ってたけど、なにに使ってたんだろう。
能町 たしかに、なにに使ってたんだろう。うちにもあったけど。
ヒャダ うちは切り傷とかに使ってましたね。
久保 「肌が傷んだらとりあえず」みたいな感じだったかな。いま思うと、そんな使い方って不思議だなあと思って。でもうちはだいたいのことはオロナインか正露丸で治してた。
──だいたいのことはオロナインか正露丸(笑)。
ヒャダ ああ〜、うちもそうだった。
久保 今はもう、そういう家庭あまりないじゃないですか。
能町 うちは正露丸は使わなかったけど、でも市販薬はけっこう使ってましたね。
久保 でも今は今で、病院から処方されて余った薬でなんとかしちゃったりするんだよね。筋肉痛でロキソニン飲んじゃったりとか。
ヒャダ ああ〜、僕もカロナール飲んじゃうな(*)。
*ロキソニンもカロナールも鎮痛剤なので、筋肉痛は治療対象の一つではある。
久保 あと胃が痛いときがあって、「もうぶっちゃけこれも痛みだから」と思って、ロキソニン飲んじゃったりして(*)。
*第一三共ヘルスケアのHPには、「効能・効果には、胃痛、腹痛はありませんので服用しないでください」と記載されている。むしろ胃粘膜を保護する機能を低下させる恐れがあるので、そういう使い方はやめて!
──え、胃の痛みにも効くんですか?
久保 効かない。ペインキラーとして投入するだけで、大元が治るのとは違うから、まやかしです。「本当はこの使い方じゃないのに、申し訳ないな」と思いながら使ってる。
ヒャダ 僕もぎっくり腰やったときに、もう痛くて痛くて。歯の治療したときにもらったカロナールが余ってたので飲んだら、やっぱりちょっとは痛みが減りますよね。痛みという感覚そのものをバグらせるんでしょうね。そう考えると、怖いですけど。
能町 ちょっとした麻薬ですよ。
ヒャダ そうですよ。怖い薬だなと思います。