パニックになったとき、スッと出せる定食を

ヒャダ 過呼吸もキツそうですよね。

能町 過呼吸キッツいです。

ヒャダ 経験あります?

能町 過呼吸はあるんですけど、私、心臓悪くなったときに過呼吸にもなったんですよ。

ヒャダ すごい。ダブルパンチ。

能町 多分心臓が悪いせいで、心理的にもパニックになって、過呼吸も出ちゃったんだと思うんですけど。本当に「あ、もう息吸えない、死ぬ」と思うんですよ。呼ばなくてよかったのに、救急車を呼んじゃったこともあって。「これ過呼吸じゃなくて心臓だ」と思ったんですよね。で、救急車を呼んだら「過呼吸です」と言われて。

久保 いや、でも過呼吸はキツいでしょう。

能町 キッツいです、過呼吸。息が……本当はちょっとできてるけど、意識的には全然できてない感じなんですよ。実際の症状よりも、心理的なパニックのほうが大きいんです。

ヒャダ 「このままいったら死ぬんじゃないだろうか」という疑念が負のスパイラルとなって……。

能町 そう、爆発的に来るんですよ。

ヒャダ 僕も閉所恐怖症が最近キツくて。

能町 あ、そうなんだ。

ヒャダ きっかけがあるんですけど、北九州の千仏鍾乳洞に行ったんですよ。そこがけっこうクレイジーな鍾乳洞で、途中から水の中を歩くんです。そのまま水の中を歩いて行ったら、「ここからは個人の責任でお願いします」みたいな看板があって。

能町 おお、怖っ。

ヒャダ そこからはヘッドライトか、携帯のライトで照らすかしかないんです。で、そのまま行ってたら、途中で水に潜らなきゃいけなくなって。

久保 ああ〜っ、クレイジ〜!

ヒャダ クレイジーなんですよ。潜って次に行くみたいなんですけど、それやってたら、どこが終わりなのかわからないし……。

久保 パニックパニック。

ヒャダ ってなったら、もう怖くなってきて。「このまま出られなくなって溺れたらどうしよう」「このまま出口がなかったらどうしよう」「このままだったら死ぬんじゃないか」という考えが、どんどんどんどん……。

能町 それに囚われちゃう感じですよね。

ヒャダ そうなんですよ。本当にそれしか考えられなくなって、負の考えの二乗みたいな感じで頭の中がウワーッとなって、「ダメだーーーっ!」と叫んで、僕、引き返したんですよね。

久保 それは閉所恐怖症じゃなくても、もう耐えられない。そんな中でポジティブでいられるわけがない。

ヒャダ それがあってから、調子いい日は大丈夫なんですけど、悪い日だと、歯医者で顔にタオルをかけられて、身体をちょっと固定されて……みたいなことになったとき、「このまま抜けられなくなったらどうしよう」「抜けられなくて死ぬんじゃないか」という考えになって、「すいません、タオル取ってください!」となっちゃったんですよ。ある意味、過呼吸にも似てるなあと思って。

能町 多分似てる。

ヒャダ 自分で自分を負のスパイラルに落としていく感じ。

(2024年4月21日のこじらせライブより)

──じゃあ鍾乳洞体験がなかったら、今も普通でいられた?

ヒャダ そうですね。でもうちの親父も閉所恐怖症らしいので、遅かれ早かれそうなってたのかもしれないです。なので、最近は素数を数えるようにしてます。

能町 なにそれ(笑)。

──気を散らすということ?

ヒャダ はい。「素数バージョン」と「北から県庁所在地バージョン」があって。「このまま死ぬんじゃないか」というスパイラルに陥ったら、「1、2、3、5、7、11、13、17……」って。それか、「札幌、青森、盛岡……」とか。

久保 待って。私、言えるかな。札幌、青森……。

能町 そっちに注目するの(笑)。

久保 いや、それを暗唱しなきゃいけない授業があって、私はクラスで一番早く言えたんだけど、今はどうかなって。札幌、青森、秋田、盛岡……岩手?

能町 岩手は盛岡。

一同 (笑)

久保 すいません。話を変えてしまって。

ヒャダ っていうふうに、考え事してたらけっこういいっすね。素数と県庁所在地は。

能町 パニックになったときに、そういうシステムは持ってたほうがいいですね。

ヒャダ そうそう。スッと出せる定食。

久保 ええ? そんなの考えたことなかった。

能町 久保さん、なにか暗唱できるものありますか? 順番になにか言えるとか、歴代●●みたいなのとか。

久保 記憶力に頼ったことがまったくないから、そういうのやったことがない。

ヒャダ セーラー戦士は?

久保 私、あんまりセーラームーン好きじゃないから。

ヒャダ 黄金聖闘士。

久保 ごめん、私はシャカだけ言って終わる(笑)。乙女座だから。

ヒャダ ジョジョのスタンド。

久保 全部は読んでない。あ、わかった。二子山部屋の力士の名前を全部言う!

能町 ああ〜、そうか! それは私も負けると思う。

ヒャダ 最近、我々の中で相撲ブームが来てるんですよ。

──えっ、そうなんですか?

能町 そうみたいです。私を差し置いて。

*この話、次回に続きます。

(2024年4月21日の『カウンセリングするつもりじゃなかった』お渡し会)

【書籍情報】

「久保みねヒャダこじらせブロス」時代の連載が書籍化!

(通常盤はこちら↓)

久保ミツロウ・能町みね子・ヒャダイン
カウンセリングするつもりじゃなかった~久保みねヒャダこじらせ雑談~」(扶桑社)

4月25日発売

通常版:2,200円

(限定盤はこちら↓)
限定付録付き特別定価版:3,080円(「こじらせ日めくり格言」付き)

漫画、文筆業、音楽と、それぞれのジャンルで活躍中の3人。そんな中年期を迎えた3人が、依存症、ネット、創作活動、コミュニケーション、結婚、死生観……などなど、時事ニュースや人生の諸問題、たわいのない日々の悩みについて語り合います。

ただの雑談が、いつの間にかお互いのカウンセリングになってしまっている!?

きっと誰かに話したくなるネタが詰まった一冊です。


【ライブ情報】

有観客&オンライン配信
『久保みねヒャダこじらせライブ』

開催日:2024年6月30日(日)
【昼公演】14:00開演【夜公演】18:00開演
会場:お台場特設会場(フジテレビ湾岸スタジオ内)
【昼公演】久保みねヒャダによる門外不出トーク(オンライン配信なし・ほぼ会場限定)
【夜公演】ゲスト:槇原敬之(有観客ライブ&オンライン配信)

*6月8日(土)より、有観客ライブの抽選販売/配信チケット(夜公演)の販売を開始。詳細は
番組公式HPを参照。


【番組情報】

ほぼ隔週で放送中
『久保みねヒャダこじらせナイト』

次回放送:2024年6月8日(土)
フジテレビ●深3:45〜4:15
*FODプレミアムで、これまでのライブ(FOD限
定トークあり)と番組アーカイブを配信中。