「愛し合い、共同生活をしようという2人を守るのが婚姻制度、という理解でいいですか」(酒井さん)

酒井 憲法24条1項前段の「両性」が、男女を示していると解釈する人もいるようですが。

木村 あの条文ができた経緯をご説明しますと、昔、結婚には戸主と両親の同意が必要でした。深刻なのは、女性が親から婚姻を強制されていた、ということです。

酒井 式ではじめて夫の顔を見た、という話は珍しくないですよね。

木村 あなた方は放っておくと女性の意思をないがしろにするので、男性だけじゃなく女性の合意も婚姻に必要ですからね、と「両性」と条文で規定したわけです。

だからこの「両性」は異性カップルを指すのではなく、男性も女性も、と読まなければいけない。当然同性カップルにも適用できますし、24年3月の第二審判決(札幌高裁)でもそうしています。

酒井 法律婚が認められないことで、婚姻による法的な効果が得られないのは差別ですよね。

木村 遺言書で対応すればいい、と考える人がいますが、若くして突然亡くなったら、遺言書を残していないケースのほうが多い。たとえ残していても、婚姻の代替手段と言えるほどの効果は期待できません。

紙1枚で生まれる強い相続権といった便宜を異性カップルに与えて、同性カップルに与えないのは、お金の問題だけではない、差別による深刻な屈辱感を生んでいると思います。