木村 選択的夫婦別姓も同性婚も、選択肢があるというのが大切なんですよ。この川を渡れるオプションがあるのに渡らないのは、その人の選択です。最終的に自分が責任を負えばいい。でも、そもそもあなたには渡る資格がありませんよというのは差別だし、当人を傷つけます。

酒井 それにしても、今日のお話で印象的だったのは、選択的夫婦別姓に反対する人たちの本音でした。(笑)

木村 憲法24条は、婚姻はいつでも男女不平等になる危険性をはらんだ制度であることを常に意識せよ、という警鐘でもあると私は考えています。

女性の権利保護のために導入された同氏制度を一部の男性が妻の要望を抑え込む形で悪用し、また不平等が生まれてしまった。夫婦関係は相互の協力、信頼、尊重のもとにしか成り立ちません。ましてその関係性を維持するには強い意思と努力が必要です。

酒井 実感がこもっている(笑)。でもそういう意見を男性から聞くのは、新鮮です。

木村 自戒を込めてお話ししていますので(笑)。自分が図々しくて、相手を尊重できないことを自覚できていない男性って本当に多いんですよ。

結婚を決めたという男性がいたら、誰かが「自分が家事をすべて引き受けている、という意識を持つぐらいで、ようやく半分できているかどうかが現実ですよ」「妻の声にすべて耳を傾けて、ようやくDVのない家庭ですよ」とよくよく言い聞かせることをおすすめしますね。それから結婚生活をはじめてもらいたい。(笑)

酒井 いろいろな人のケースに向き合ってきた法律家の言葉の重みは違う(笑)。世の中を変えるのは当事者だけじゃない。ひとりひとりが、この問題をわがこととして考えることが大事だと改めて思いました。