エッセイストの酒井順子さん(左)と憲法学者の木村草太さん(右)(撮影:本社・武田祐介)
婚姻の際、夫婦がどちらかの姓にしなければならない夫婦同氏(どううじ)制。義務づけているのは世界で日本だけだ。同姓にするか別姓にするかを選べる《選択的》夫婦別姓導入を求める声は根強いが、半世紀にわたり進まない。同性婚の法制化は、同性同士の結婚を認めない民法と戸籍法の規定が「違憲状態である」と札幌高裁が判断、次の一歩が期待されているが――。法律婚を望む2人を阻む〈制度〉の課題。酒井順子さんとともに婚姻にまつわるあれこれを木村草太さんに学ぶ(構成:篠藤ゆり 撮影:本社・武田祐介)

事実婚では、婚姻の法的効果は得られない

酒井 私は20年近くパートナーと同居していますが、戸籍上は独身。いわゆる事実婚、という状況です。

木村 法律婚を選択しない理由をうかがっても?

酒井 うーん、「なんとなく」と「面倒臭い」というところでしょうか。結婚できない事情があるわけではないです。ただ、親に許しを得るとか、式をして皆さんにご披露するとか、結婚はかなりの覚悟がないとできないことだけれど、その必要性もなかったというか。法律婚をしていなくて困ったことも、いまのところないんですよね。

木村 憲法第24条1項の前段に「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」とありますから、結婚には親の許可も挙式も必要ないんですけどね。

酒井 そこは私のなかに社会通念という呪縛があるんでしょうね(笑)。親の許可も親戚づきあいも不要なら、なおさら届を出さなくてもいいかな、と思っちゃいます。

木村 お子さんがいたら、婚姻届は出したのでしょうか。

酒井 そうかもしれません。子どもがいないと、よけいに法律婚の必要性を感じないですね。