「法律婚は、どうしても当事者だけの関係性で済まないじゃないですか。だから日本でも選択しない人が増えている気がします」

日本の婚姻制度は使いやすくできている

酒井 なるほど。木村さんは、PACSの一番《お得》な部分はなんだと思いますか。

木村 結婚すると相手の親や親類といった係累との関係が生まれますが、そういう関係が生じないことでしょうか。あ、酒井さんの目がキラキラしてきましたね。(笑)

酒井 ちょっと魅力的だなあ(笑)。法律婚は、どうしても当事者だけの関係性で済まないじゃないですか。だから日本でも選択しない人が増えている気がします。

私も、たとえば相手の家に法事があるときはお供えを託しますが、出席はしません。私の実家に対してもその距離感でいてほしいですし。根本的な話ですが、私、世界中に婚姻制度があることに、かねてびっくりしていて。

木村 人は生まれた瞬間、誰が母親かはわかりますが、父親はわかりづらい。そこで父親を決めておく仕組みが必要になった。それが当初の婚姻制度だという説明が一般的ですね。

共同生活を営むうえで便利な効果を付与した結果、必ずしも子どもを持つわけではない人も制度を利用するようになっていった。

酒井 「本当に俺の子なのか」という男の不安がベースにある。