祖母の「三角食べ」

「三角食べ」という言葉を祖母は乱用していて、何かというと、ごはん→汁物→おかず→ごはん→汁物→おかず、と三角に食べていくということらしい。当時うちの地域では学校で習ったような気がする。祖母は、小松菜の栄養と、三角食べの良さを信じていた。

日の当たらない台所でごはんを食べ終わると、隣の居間に祖父がドッカリと座っていて、囲碁の番組をみるか、株価を聞いているか、何かを調べているか、大体そんな感じだった。

隣の和室に、ぶら下がり健康器が置いてあって、「ぶら下がれ」と祖父は言った。わたしは、それは好きではなかったから、2階の曽祖母のところへ行ってテレビを観ていた。時期や時間の記憶は曖昧だけど、白い巨塔、2時のワイドショー、大岡越前、何となく覚えている。

青木さんの著書『母』 本連載から生まれた青木さんの著書『母』

曽祖母の部屋には黄色と緑の混ざったインコがいて、ピーちゃんと呼ぶと、ピーちゃん!と言えるインコで、可愛かった。日が暮れてくると、外にはコバエくらい大群のコウモリが飛んでいて、よく窓から祖母宅に入ってきて、しばらくコウモリを家で飼っていたこともある。