専門店以外でもタピオカドリンクを扱う店が急増。カフェチェーン「ドトール」のタピオカミルクティー(左)と、コンビニ「ファミリーマート」のタピオカカフェオレ(撮影◎本社写真部)
専門家が独自の目線で選ぶ「時代を表すキーワード」。今回は、経済ジャーナリストの北村森さんが、「タピオカブーム」を解説します。

日本では3度目の流行。このまま人気が定着する?

令和元(2019)年は、何がヒットしたか。「バスチー(バスク風チーズケーキ)」、キャッシュレス決済、映画『天気の子』……。そして、18年からのブームがさらに勢いづいているタピオカも決して外せませんね。

いまやその輸入量は、18年の2倍以上だそうです。台湾から上陸した専門店が人気となっただけではない。ドトールなど国内カフェチェーンはもちろん、回転寿司店までもが競ってメニューに加えるほどです。なんだか「19年の顔」という感もありますけれど、この現象をどう読み解けばいいのか。

実は今回のブーム、日本では3度目なんです。最初は1990年代の前半、次が2000年代の半ば以降。そこに共通しているのは、「景気不透明な時期になぜかタピオカが流行る」という話です。19年も消費増税への不安などから、やはり先行きが見えない状況でした。

それってどうして? 500円程度の出費で満足を得られる、口当たりが優しくて気持ちが落ち着く、そして思いのほか腹持ちがいい、といった要素が挙げられるかもしれませんね。

今回の第3次ブームでは、過去2度にはなかった背景もあります。まず、素材として「生タピオカ」が登場したこと。次に、近年の台湾スイーツ人気が後押しとなったこと(かき氷がそう)。そして決定的だったのは、インスタ映えするという要素でしょう。若年層から人気に火がついて、それが過去のブームにもまして幅広い層に波及した感じです。

今後はどうなるのか。ブームが終わっても、完全に表舞台から去るとまではならない気もします。日本人好みの食感で、より多くの人が今回それを知ったからです。ティラミスやナタデココがしぶとく生き残ったように、タピオカも定番化するかもしれませんよ。