人生も芝居も、計算立ててきっちりと

悠木 こういうわたしみたいにすごいプライドの高い、いままで男を睥睨(へいげい)していたような女は、そういうのに会うと、コロッとまいっちゃうわけよ。つかさんみたいに正しくものを見て、これは悲劇に酔っているんだなと思わないで。いま、はじめて気がついたわけよ、三年たって。

『人生、上出来 増補版 心底惚れた』(著:樹木希林/中央公論新社)

つか そのへんでつながり合っていけるけれども、ぼくなんか……。

悠木 自分の人生を全部、計算っていうとすごくいやらしいけれども、たしかに見ていくと、楽しんでいるという感じするね。悲劇も喜劇も。

つか それには計算立てなきゃいけないだろうとぼくは思っていて……。芝居の場合もそうですけどね、その微妙な計算や、きっちりやっていくほうを、ぼくはいちばん選んじゃったみたいなところありますね。

悠木 つかさんの年代がみんなそうというわけじゃないでしょう。

つか やっぱり違うと思いますね。どっか頑張ってないという感じはしますけどね。一緒になるのも、結婚するのもいいけど、あいつは頑張ってないなという感じがありますね。どっか、こらえ性がない。