「答えはやなせさんが出している」
今田さんは、「2人のかわいらしさがすごく出ているんじゃないかな」と笑顔。北村さんは「晩年のシーンは撮影が早かったので、長い撮影のなかで僕ら2人がどう道筋を作って、そこに至るかを想像の中でやるしかなかった。逆にいうと、もう楽しむしかなかった。どこまで背筋が曲がっているんだろうとか、日々どういうニュアンスだったかがわからないからこそできたのかもしれない」と打ち明けた。
北村さんは、シーンの終わり際はほぼアドリブだったことを明かし、今田も「採用されていたね」とほほ笑んだ。
今年は戦後80年。やなせさんは戦争体験を経て、逆転しない正義とは、「おなかがすいて困っている人がいたら、ひときれのパンを届けること」と思い至り、アンパンマンが生まれたという。
逆転しない正義についての考えを問われると、北村さんは「答えは正直、もうやなせさんが出している。悪い奴を倒すことが正義ではなくて、飢えている人に食べ物をあげること。食べることであり、生きることなんだろうなっていうのはいろんなシーンで感じています。食べて涙が出るとか、生を実感する瞬間はこの作品でも僕自身がすごく大事にしているところ。阿部(サダヲ)さん演じるヤムおじさんが、あんぱんを焼いてくれるけれど、本当にあたたかい」と語った。