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専門家が独自の目線で選ぶ「時代を表すキーワード」。今回は、政治アナリストの伊藤惇夫さんが、「連座制」について解説します。

議員本人が関わらなくても問答無用で当選無効に

スキャンダルが浮上するたびに、政治家が繰り出す常套句が「秘書がやった」だの「知らなかった」だの。だが、この制度の対象になると、そんな言い訳は通用しない。それが公職選挙法に規定されている「連座制」という制度だ。

「連座制」の対象になると、候補者の関係者が選挙違反で有罪となった場合、候補者自身がその犯罪に直接関与していなくても当選が無効とされる。さらに以後5年間、同じ選挙区からの立候補が禁止される。

今、これが改めて注目を浴びているのは、自民党の河井案里参議院議員(広島選挙区)が、この制度の対象になるのではないか、と噂されているからだ。夫である河井克行前法相(自民)と2ヵ月以上も国会を欠席して雲隠れした末、広島地検の家宅捜索が入った直後の1月15日に、ようやく姿を現した。

具体的には昨年行われた参議院議員選挙の際、河井案里氏の陣営が、車上運動員(いわゆる「ウグイス嬢」)に法定上限額の倍に当たる3万円を支払ったとされる疑惑だ。地検は案里氏・克行氏それぞれの事務所などへの家宅捜索や、関係者からの事情聴取など立件に向けての動きを加速させている。

もし陣営の中から逮捕者が出て、有罪となれば、たとえ案里議員が指示していなくても、あるいは知らなかったとしても、「連座制」の適用を受けて当選無効、5年間立候補禁止となる可能性が高い。過去、この制度の対象となった候補者は19人、うち当選していたのは12人だが、いずれも議員を辞めている。さて、案里議員の運命は……?