嵩にのぶは救われた
――第13週で、4年ぶりに嵩と再会するシーンはいかがでしたか?
のぶとしては、次郎さんも亡くなって、大好きな子どもたちも傷つけて、本当にどん底のときでした。のぶは責任感も強いですし、こんな自分が生きていていいのだろうかと。それまでは次郎さんがいて救われていたけれど、それもなくなってしまった。
そんなときに嵩と再会し、今まではのぶが嵩を元気づけることが多かったのですが、このシーンでは逆に嵩がどん底からのぶを引っ張り上げてくれて。このときの嵩の言葉がすごく心に残っていますし、のぶが本当に救われた瞬間でした。
このシーンで、北村さんは「戦地でいろんな経験をしたからこそ、少し達観している嵩でいたい」とおっしゃっていました。
戦地でのシーンは、のぶが暮らす高知とは遠く離れた別の場所で起こっていることなので、私自身はあえて台本は読まないようにしていましたが、北村さんをはじめ、出演者の皆さんは実際に食事を抜いて撮影に挑んでいました。
私も放送を見て、「ここまで描くんだ」と思いましたし、言葉にできないくらい壮絶だなと。でも、やなせさんの人生を描く上で大切な部分ですし、この『あんぱん』チーム全員が戦争というものに本気で向き合っている覚悟を感じました。この作品を通して、改めて戦争について考える機会が少しでも増えたらいいなと思います。