ペットと暮らす豊かさと責任

一時期、家でおしゃべりする相手は、ぽんちゃんだけでした。その時に本当にぽんちゃんに救われたんです。『シバのおきて』では、福助の心の声が表現されますが、振り返ると、僕もぽんちゃんと会話していたような記憶があるんです。

大東駿介さん

 『シバのおきて』の第1回でしゃべる福助を見た時に、ぽんちゃんのことを思い出しました。福ちゃんと相楽はまだあまり分かり合えていないですけれど、ぽんちゃんと僕はすごく心が通い合っていました。

人と人、生き物と生き物は、相手を理解しようとする心がいちばん大切です。ぽんちゃんの些細な仕草に情報や気持ちが隠れていました。それは人間関係でも言える。人間は嘘をつくし、大丈夫じゃないのに「大丈夫」と言う。平気じゃないのに、笑顔を見せる。心の内側の思いを汲み取ることを、最初に学んだ相手はぽんちゃんでした。

ぽんちゃんを高校生の時に見送りました。ペットは人間よりどうしても寿命が短いですが、教えてもらえるもの、財産としていただくものはたくさんある。ペットと生きることは、美しいだけじゃない。

いちばん大切なのは飼育することに伴う責任です。『シバのおきて』の物語の中にも、ペットと暮らすことの豊かさやそれに伴う責任と悲しみは描かれています。そこをないがしろにする作品作りはしたくないと思っていました。

 

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ドラマ10 「シバのおきて~われら犬バカ編集部~ 
NHK総合 毎週火曜 夜10:00〜10:45
【原作】片野ゆか「平成犬バカ編集部」
【脚本】徳尾浩司
【音楽】YOUR SONG IS GOOD
【出演】大東駿介/飯豊まりえ/片桐はいり/こがけん/篠原悠伸/水川かたまり/黒田大輔/有香/柄本時生/津田健次郎/瀧内公美/勝村政信/松坂慶子