
聴力の衰えを補ってくれる補聴器ですが、使用に抵抗感を持つ人はいまだ少なくありません。そんななか、「近年、デザインや性能が驚くほど進化している」と話すのは、補聴器メーカー・マキチエの平松知義社長。エッセイストの岸本葉子さんが最新事情を掘り下げます
あえて〝見せる〞時代へ
岸本私は、日常生活で聞こえにくさを感じることはまだありません。でも最近、音に疲れやすいんです。騒がしいお店が苦手になりましたし、高い音域の話し声や、スマホをタップする時に爪が当たる音も気になります。雑音が多い電車の中では耳栓をつけていて、いつか外出を楽しめなくなるのではないかと心配で。人間ドックの聴力検査では異常がないのですが、これも加齢現象でしょうか。
平松今まで気にならなかった音がひどく気になる状態も、加齢による難聴のサインだと言われています。年を重ねると音を認識しづらくなり、小さな音を大きく受け取ろうと脳の活動が活発に。その結果、特定の音だけ大きく不快に聞こえることがあるのです。
岸本え! 音を敏感にキャッチしているので、難聴の可能性はまったく考えていませんでした。
平松音に敏感な状態で難聴が原因であれば、補聴器で軽減されることがあります。特に不快に響く音を調整しながら、大きな音に慣らしていくことができるためです。
岸本補聴器は小さな音を大きくするためだけの道具だと思っていました。これまでの知識をアップデートしなければいけませんね。
平松補聴器を装用することへの意識も、昔と今では異なります。アンケート調査※によると、60代以上の方は「周囲の目が気になる」「年寄りだと思われたくない」などネガティブに捉える傾向がありますが、35歳までの若年層では「装用に抵抗がない」と回答した人が8割超。補聴器の使用に対し、「会話を諦めない前向きな姿勢を感じる」という声もあります。
岸本若い方は、「補聴器=コミュニケーションを円滑にするツール」だと捉えているんですね。
平松はい。とはいえ、見た目が気になる気持ちもよくわかります。そこで私たちが開発したのが、「マキチエハート」です。音楽イヤホンのようなデザイン(下写真参照)で抵抗なくつけられますし、本体を耳の後ろにかけるタイプなので、会話している相手に違和感を持たれることもありません。使うのが楽しくなるように、カラーバリエーションも豊富に用意しました。
岸本目立たなくするのではなく、かっこよく見せる。逆転の発想ですね。色味もきれいで、お洋服にも合わせやすそうです。
平松デザイン性を追求するだけでなく、管理医療機器として求められる国際規格に適した品質も備えています。緻密な技を駆使し、東京・日本橋の工房で1台ずつ組み立てることで、日本人の耳に合うサイズや形を実現しました。岸本さんもつけてみませんか?
岸本ありがとうございます。わあ、小さい。耳に入れても圧迫感がなく、しかもとても軽いですね。
平松毎日使うものなので、扱いやすく、長時間装用しても疲れにくい設計にしています。ちなみに、この補聴器はスマホとつないで音楽を聴くこともできますよ。
岸本すごい! 最近、揺れる電車の中で本を読むのがつらいので、この補聴器を活用して、移動中に英会話を勉強するのもいいですね。日常生活が楽しくなりそう。
平松マキチエハートには、「心を聞く補聴器」という意味を込めています。大切な音や大切な人の声を耳で聞き、心を動かしてほしい。それを80年間培ってきた技術で支えたい。私たちは、補聴器を「音を聞くための道具」ではなく、「楽しさや幸せを感じさせる道具」にしたいと願っているのです。
※出典:GNリサウンド「補聴器をつけることに対する意識」アンケート調査レポート2025年
よく聞き、よく話すために
岸本多少の聞こえにくさはあっても、「私にはまだ早い」と考える方も多いですよね。どのようなタイミングで、補聴器の使用を検討すべきでしょうか。
平松聞き返しや聞き逃しが増えてきたら、耳鼻咽喉科を受診してください。聴力低下の原因は、加齢のほかに耳垢詰まりや重大な病気が隠れている可能性もあります。また、病院選びも重要です。耳鼻咽喉科といっても、医師によってアレルギーやめまいなど専門分野はさまざま。そのため、「補聴器相談医」の認定を受けた医師のいる医療機関を選ぶのがベストです。
岸本補聴器が必要だと診断されてから、購入すればいいんですね。
平松はい。といっても、診断後すぐに購入する必要はありません。マキチエでは補聴器をお貸し出しし、医師と連携して一人ひとりに合わせた調整、トレーニングを行ったうえでご購入いただきます。
岸本それなら安心ですね。私もさっそく耳鼻科を受診しようと思います。
平松自覚症状がなくても、年に一度は精密な聴力検査を受けると安心です。いつまでも若々しく健康に暮らす秘訣は、よく聞き、よく話すこと。コミュニケーションの機会が増えれば、笑顔も自然と増えるでしょう。聞こえを〝最適化〞することで、人生をより豊かに彩っていただけたら嬉しいです。
岸本補聴器は、耳の健康や幸福感を高めるために必要不可欠な道具なんですね。今日のお話を聞いて、イメージが大きく変わりました。私も前向きに検討します。
補聴器は、使用開始前の適切なフィッティング調整により、その効果が発揮されます。しかし、装用者の聞こえの状態によっては効果が異なる場合があります
聞こえを快適にサポート!
販売名:耳かけ型補聴器 マキチエハート


美しい見た目が印象的な日本製の補聴器。重度の難聴者にも対応できる機能を備え、管理医療機器として認定されながら、手頃な価格を実現。スマホと繋がる無線機能や約5時間でフル充電できるUSB充電ケース付き「マキチエハート」全12色、両耳29万円(非課税)。今秋発売予定
※ご使用の前に添付文書及び取扱説明書を必ずご参照ください。

平松 知義(ひらまつ・ともよし)/マキチエ代表取締役社長
2018年に、補聴器の開発・製造・販売を行う、マキチエ株式会社の代表取締役社長に就任。医師と連携して補聴器販売を行う先駆者として、病院・医院を主な取引先に活躍している

岸本葉子(きしもと・ようこ)/エッセイスト
1961年神奈川県生まれ。東京大学教養学部卒業。会社勤務、中国留学を経て本格的に執筆活動を開始。『60代、不安はあるけど、今が好き』『モヤモヤするけどスッキリ暮らす』など著書多数
●お問い合わせ/マキチエ️
☎0120・666・283(9:00 ~ 17:00、土日祝日を除く)https://makichie.co.jp/