上 菊屋横町は「日本の道100選」にも選ばれた萩を代表する通りだ。かつては、中・下級武士の屋敷が軒を連ねていた。
左下 高い土塀で囲み、鍵の手(直角)に曲げた城下町特有の道筋がきれいに残る平安古鍵曲(ひやこかいまがり)。塀越しに見える夏みかんが萩らしい景観を作っている。
右下 400年の伝統を誇る萩焼。使い込むほど味の出る「萩の七化け」も人気の理由だ
自転車を走らせ、子どもたちが元気に笑い声を響かせる。彼らの行く先にあるのは、幕末の風雲児、高杉晋作の誕生地だ。ここは山口県萩市の菊屋横町。名前の由来となっているのは、横町の入り口に建つ萩藩御用商人、菊屋家の住宅だ。太陽の光を浴びてまぶしく輝く白壁と、美しい幾何学模様を刻むなまこ壁が江戸時代の風情を今に伝え、世界遺産の構成要素の一つともなっている。
慶長九(1604)年、毛利輝元が防長2州36万石の居城として萩城を築城。萩には今も当時の町割が残り、江戸時代の城下町絵図をそのまま用いることができる。そんな市内でも、ひときわ往時の趣を感じられる菊屋横町について、菊屋家13代当主の妻、菊屋京(みやこ)さん(62歳)はこう話す。
「維新の志士たちが大志を抱いて歩いたこの道を、昔のままに残したいという一心で、白壁が傷めば進んで補修してきました。毎日、通りを掃き清めている近隣の方々も同じ気持ちだと思います」
大正時代の鉄道敷設の際には、住民の熱い要望により城下町を迂回するルートが取られたとも伝わる。時代が変わっても美しい町並みを守っていきたい、そんな人々の思いは、今も受け継がれている。
●交通:萩城下町エリアにある菊屋横町へは、JR東萩駅から徒歩約30分。
●お問い合わせ先:萩市観光協会 TEL 0838−25−1750
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