「猫たちにとって自分は絶対的に必要な存在なのだという思いが、がんに負けるものかという気持ちの源になっているのを感じます」(写真提供:ケイコさん)

手術は1ヵ月後に決まった。入院するまで、会社から帰宅すると子宮頸がんに関する本や、闘病生活を送る人のブログを読み漁ったという。

「生きる希望になるような光を求めていたのですが、飛び込んでくるのはナーバスになる情報ばかり。私死ぬのかなって、考えたら怖くて。食べることも眠ることもできず、1週間で4キロも痩せてしまいました」

 

気晴らしに、うちの仔猫たちを見においで

そんなとき、保護猫を飼い始めた友人から「気晴らしに、うちの仔猫たちを見においでよ」と誘われた。

「生後3ヵ月の仔猫たちが無気に戯れている。張り詰めていた気持ちが緩んでいくのを感じました。仔猫たちが生命力の塊に見えたんでしょうね。何より可愛くて。しっかり病気を治して、元気になったら私も猫を飼いたいと、自然に未来への希望が湧いてきたんです。それを心の支えに、手術も治療も頑張ろうと誓いました」

手術は無事済んだが、合併症で入院が長引いた。そのときも、「絶対がんに勝って、猫を飼うんだ」と踏ん張ったという。そして術後1年の回復期間を経て、縁あって巡り合った保護猫を飼い始めた。オスとメスのきょうだいだ。

「5年間は再発リスクがあると言われています。でも、私には猫を飼う資格がある、それだけの生命力がある、と信じたかったのかもしれません。とはいえ無責任なことはできないので、私にもしものことがあったら猫たちをよろしく、と兄一家に伝えてあります」