西側諸国は団結を
「中国が国安法を作った時、西側諸国は大した制裁を行わなかった。ロシアがクリミアを併合した時も、必ずしも十分な制裁はできなかった。そこは我々にも責任がある。民主主義が破壊された時にしっかりと対応していくことは大事だ」=興梠氏
「メディアや市民社会による制御がきかないところでは、権力者が暴走する可能性がある。中国にも言うべきことを言わなければ、好き勝手なことを始めてしまう」=阿古氏
飯塚香港情勢とロシアのウクライナ侵攻には、重なり合うところがあります。いずれも人権侵害、法の支配の無視が公然と行われている。ロシアのプーチン大統領は「帝政ロシアの栄光を再び」と考えている節があり、習氏のスローガン「中華民族の偉大なる復興」を連想させます。専制主義者の思考回路には「復古主義」が組み込まれているように思います。
吉田中国が香港「制圧」の次に台湾統一を考えているのは疑いない。最近も中国はロシアの国際社会からの孤立を目の当たりにし対応に動いている。王毅外相は南太平洋の島嶼国を公式訪問しましたが、これも孤立を回避する外交戦略の一環。日本政府は防衛力強化の方針を明らかにしていますが、安全保障面で潮目が変わりつつあるのは疑いない。外交交渉との二本柱で中国にメッセージを送らねばなりません。
飯塚岸田首相は5月の日米首脳会談後の共同声明で、「香港における動向と新疆ウイグル自治区における人権問題について深刻かつ継続する懸念を共有した」と表明しています。6月末の独エルマウでのG7サミットでも同様の指摘が盛り込まれることになるでしょう。日本もG7の一員として、中国の人権問題に対し、対露同様、より毅然とした態度がさらに求められます。
飯塚恵子/いいづか・けいこ
読売新聞編集委員
東京都出身。上智大学外国語学部英語学科卒業。1987年読売新聞社入社。 政治部次長、 論説委員、アメリカ総局長、国際部長などを経て現職。
吉田清久/よしだ・きよひさ
読売新聞編集委員
1961年生まれ。石川県出身。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。1987年読売新聞社入社。東北総局、政治部次長、 医療部長などを経て現職。