霊園の管理費は、留美子さんの場合で年に約4000円。そのまま持っていたほうが金銭的な負担は軽い。そう考える人が多いせいか、放置されるお墓が増えていた。一方、この霊園は人気が高く、一般墓では20倍近い倍率になる施設もあった。自分たちがどいたら、そのぶん希望する人が入ることができるとも考えた。

また昨年末に父親が亡くなり、父方の墓に入ったのを機に、いよいよ留美子さんは母方の墓じまいを決意した。インターネットで調べたところ、管理事務所で聞いた価格より4割ほど安い値段で墓石の撤去を請け負ってくれる業者が見つかった。

「並行して改葬先も探していました。でも、家から近い民間の永代供養墓は100万円近い費用がかかるとわかって。散骨も考えましたが、お参りする先をなくしてしまうのは姉妹とも抵抗があった。なので、約6万円と手頃な公営霊園の合同墓に入れたらと思ったのですが……」

 

お墓の引っ越しだけなのに、ほとほと疲れ果て

公営霊園同士での移動なのだから、手続きもシンプルではないかと想像していた留美子さん。

「申請書類をもらいに行ったら、職員から『本当にお墓をつぶしていいのか』『後から文句を言う親戚はいないか』と、くどくど確認されて」

申請書類が多岐にわたるのはお役所だから仕方がないとしても、「改葬の申し込みができる時期が、7月下旬のたった2週間。さらに、『内容によっては申請が許可されないことがある』と言われて。どんなケースが許可されないのか、その割合はどの程度なのか、はっきり教えてくれないのです。お墓の引っ越しだけなのに、ほとほと疲れ果てました」。