洋館から持ち帰った古い着物類も、しっかり活用。昭和初期の総刺繍の長羽織は、手持ちの帯留めや懐中時計と合わせて着るように。見事な刺繍があるものの残念ながらシミが多い帯などは、仕立て直してセンタークロスや壁掛けにして再利用している。

「昔の職人さんの手仕事は、本当にすばらしい。廃棄処分されるくらいなら、少し手をかけてでも甦らせたいと思います」と村瀬さんは言う。人から見たら価値がないかもしれないけれど、自分にとってはかけがえのない宝物というわけだ。

ちなみに筆者にとっては、両親を見送り実家を売却する際、庭から掘り起こして移植した植物がお宝。母が大事にしていた宿根草やバイモ、イカリソウ、ヒトリシズカなどの山野草を育てて増やし、友人に分けたりもしている。

人それぞれ「お宝」の定義は違うけれど、その根底にあるのは「物を大事にしたい」という精神だ。大量生産・大量廃棄ではなく、ある物を大事に使い、人から人へと手渡していく。多くの人がそうしたライフスタイルに価値を見出す時代になってきたようだ。


《ルポ》わが家で見つけた意外なお宝
【1】遺品整理で高値がついたのは
【2】メルカリで大型家具を売却
【3】廃棄品を修復して甦らせる