扉の中は「収納」ではなく「楽屋」

青木 最初は冷蔵庫の整理からやっていただいて。

やました 家の中の納戸など、見えてない部分にモノがギッチリ詰まっているのは、見なくてもすぐにわかりました。でもそこから取り掛かるのは大変なので、手始めに冷蔵庫を選びました。

青木 なぜ収納にモノが詰まっているとわかるんですか?

やました 仕事柄なんとなくわかってしまうんですよ。押し込められたモノたちから、悪い “気”が出ているというか…。見えるところは片付いていて一見雰囲気がいい部屋なんだけど、ひとつひとつのモノはあまり愛でていない様子から、ちょっと自己肯定感の低さを感じましたね。

青木 言い当てられてしまって驚きでした。でもそもそも収納とはギッチリ詰め込むのが正解だと思っていたんです。

やました 大きな声では言えませんが、私は収納とは「詰め込んで殺す場所」と捉えています。

青木 ひでこさんは収納の中でさえ、飾り方を考えて!と仰るのでびっくりしました。

やました 扉の中は「収納」ではなく「楽屋」と考えていただきたいんです。永遠に出番のない多くの役者が詰め込まれている楽屋は怖いですよね。

青木 断捨離して気づいたこととしては、見えるところを片付けた時よりも、見えないところを片付けた時、より清々しく感じるということです。目に入っていないのに不思議でした。

やました そう、見えないところが変わると、部屋の中の“気”が変わるんです。