大抵のモノは過去への執着(やました)

やました 大抵のモノは過去への執着で、垢のようなもの。でも現在の関係性と結びついているものは捨てる必要がない。

青木 私はかなりのものを減らすことができました。

やました そう、番組スタッフが、青木さん宅の最後の撮影に入る前に「ひでこさん、青木さんちは完璧で、もういじる箇所がないかもしれませんよ。尺が埋まらないかもしれない」って心配していたくらい。

青木 でもまたすぐにモノは増えてきますね。

やました それでいいのよ。断捨離は一度挑戦して終わりというわけではありません。私たちは流れの中にあって、常に澱みなく入れ替わっていくべき存在。たとえ今必要なものでも、未来には必要ではなくなる時がきます。さやかさんは潔く捨てていたけれど、抵抗はなかったですか?

青木 断捨離は楽しくはあったのですが、とても疲れましたね。棚から出して、ひとつひとつのものに向き合うのは、大変でした。

やました そう、頭を使って、いるのかいらないのか判断するより、“しまう”という体を使う動作の方が楽なのが人間。思考を放棄して体を動かす方が簡単なの。だから慣れるまで疲れるのは当然なのよ。それから疲れる原因はもうひとつあって、人間の思考はすぐに過去に行ったり未来に行ったりするから、それを「今」「現在」に結びつけておくことが大変なの。

青木 やはり過去に高く買ったものは捨て難かったですね。

やました 買い物って間違いだらけなのよね。

青木 ひでこさんでもそう感じるのですね。