娘に対しては放任主義です

やました モノは結局残骸になるし、処分に困るからお金にしてくれるのは愛なのよ。

青木 はい、ありがたかったですね。母はほとんどのものを処分して、これは使うかなというモノは遺していましたが、そのうちの9割はいらないモノでした。子どもに何かものを残すということはやめた方がいいですね。ただ、今子どもが処分しないものには苦しめられています。家中綺麗にしたつもりでも娘の一部屋が散らかっていると、どうにも落ち着かないです。

『厄介なオンナ』(青木さやか・著/大和書房)

やました ただね、子どものものを勝手に捨ててはダメなの。捨てる行為というよりは、人間、「選択決断」の領域に踏み込まれることが嫌なものなの。それにお嬢さんは中学生でしょ。まだインプットの時期だからある程度ものを溜め込むのは仕方がないこと。「あなたのものを捨てたい」じゃなくて「散らかっていると気分が悪い」ということを率直に伝えてみるのもいいんじゃない?

青木 その言い方は迫力ありますね(笑)。娘はオシャレが大好きで、服をとにかくたくさん買いこんでくるのです。

やました ウチの息子の場合は漫画が好きでした。たくさん持っていたので、少しぐらい捨ててもバレないだろうと、勝手に捨ててしまったの。そうしたら「僕の『るろうに剣心』はどこ?」と聞かれましてね、最初はしらばっくれてたんだけど、捨てたと認めたら怒られました。今でも恨まれています。(笑)

青木 そうなんですね…!

やました 先日、彼が放浪の旅に出ているカナダで久しぶりに会った時、本屋に行ったら「MANGA」のコーナーがあるんだよ!と案内されました。「日本の漫画は世界で愛されている」という話を聞かせてくれて、ああ多分まだ根に持ってるな、と(笑)。あれは本当に申し訳なく思っています。息子は20歳くらいの時に突然なんにでも歯向かう口をきくようになったので、「言いたいことがあるなら言いなさい!」と詰め寄りました。そうすると「お母さんは断捨離断捨離って言うけど捨てるばっかりだ、それに価値観を押し付けている!」と言われたんです。価値観を押し付けるのだけはやめようと心がけていたのに、そう言われたのが本当にショックだった。その後は離れて住むようになり、とにかく息子の人生には一切口を出していないつもりです。

青木 私も母に口うるさく言われたので、娘に対しては放任主義です。何をしろとか指示しません。そうしたら先日、「勉強しないでいいっていう考えを押し付けないで」と言われました。娘はこの頃塾のコマ数を勝手に増やしてくるので、費用が大変です。

やました 良い子に育っているじゃない。私は息子が結婚する時にね、「あなたが選んだ人なら誰でもいいのよ」と伝えました。でもお嫁さんに「片付けは好きですか?」って聞いたら「そんなに好きじゃない」って言うから近づかないようにしています(笑)。無用な対立は避けた方がいいものね。