撮影:本社写真部
いただきモノや、思い入れの強いモノ……。もう自分が使うことはないけれど、「ゴミ」としては出しにくいモノを、捨てる以外の方法で手放してみました。最後に紹介するのは、思い入れの深い人形への別れの告げ方です(撮影:本社写真部、本誌編集部)

役目を終えた人形に感謝の思いを込めて

初節句に祖父母や両親が贈ってくれた雛人形。幼い頃、一緒に眠ったぬいぐるみ。大事さゆえにサヨナラする機会を逃し、大人になっても押入れの奥に潜ませたままという人は少なくないかもしれない。

私の友人が先日、近く結婚する娘と一緒に、かつて使った子ども部屋を整理していたら、約30年前に買い与えたうさぎのぬいぐるみの「ミミ」が、ひょっこり顔を現したそうだ。

「娘はミミとの久々の対面に感激しきりだったけど、『でも、お別れする。実は私、多感な時期、ミミに愚痴ばかり聞かせていたの。もうゆっくり休ませてあげたい』って」

もうひとり。6歳の娘が、かわいがっていたディズニーのキャラクター・エルサの人形に興味を失い、「捨てていいよ」と素っ気ない、と嘆く知人も。

「いくらなんでも、捨てるのは気が引けるんだよなぁ……」

そんなこんなで、ミミとエルサを連れて、「本寿院」を訪れた。初めに三浦尊明住職から、人形供養の由来を聞く。

「『人の形』と書く人形は、はるか昔から人の苦しみを受け入れてくれる存在ととらえられてきました。ですから、子どもが健康に育つことが稀だった時代は、無事な成長を祈願するたび、子の身代わりに人形を奉納していたのです」

本寿院では、開門時間の9~18時なら、予約なしで供養する人形を受け付けている。ホームページ掲載の申込書に必要事項を明記、同封すれば郵送でもOKだ。ただし、公開で行われる参列可能な合同供養は、毎月第2日曜日のみ。個別供養を希望する場合、要予約となる。お布施は5000円から。

「月1回の合同供養を望む方が多く、毎回約50名が参列されます。当日、講堂の畳の上には、人形が隙間なく並ぶ。供養の最中、涙を流す方もたくさんいる。本当の子どものようにお人形を愛してこられたのでしょう」