今田美桜さんがヒロインを務める連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合/毎週月曜~土曜8時ほか)。子どもたちの人気者・アンパンマンを生み出したやなせたかしさんと、妻・暢さんの夫婦をモデルとした物語です。<柳井のぶ>を今田さん、<柳井嵩>を北村匠海さんが演じています。逆転しない正義を体現した『アンパンマン』を生み出した嵩を引っ張ってきたのぶ。2人の物語の最終回は、ごくありふれた日常の描写で終わりました。嵩役に向き合ってきた北村さんにお話を伺いました。(取材・文:婦人公論.jp編集部)
全員対等に話し合いながら
<最終回となる第130回では、病気になって入院したのぶは一時病状が悪化するも退院。それから5年を元気に過ごし、アンパンマンの絵本の読み聞かせを続けた。メーンキャストで登場したのは嵩とのぶ2人だけ。たわいもない日常を過ごす2人が1本道を楽しそうに歩いていくシーンで物語の幕が下りた>
最終回は、この終わり方がベストだと思っています。最後のシーンは、非常に僕ららしくて。「2人の日常がいつまでも続いてほしい」という願いを今田さんと2人でかみしめながら一本道を歩いていくシーンになりました。そのたわいのなさに、僕はすごく涙が出そうになったんです。『あんぱん』が歩んできた、すごくあたたかな毎日がそうさせてくれた気がします。
制作陣も本当に僕らの話を聞いてくれました。監督演出陣だけじゃなくて、助監督チームやカメラマンチーム、衣装メイク部ともいろいろなことを話し合ったんです。どのスタッフさんも全員が対等に話し合いながら、一日一日を紡いでいるような感覚でした。
朝ドラは初めてだったので、15分という尺の短さを痛感しました。もう7年物語が飛ばなきゃいけないとか、ページをめくったら「メイコの子供が成長している!」とか。15分の中で起承転結をつけて、1週間でどうやって大きな起承転結をつけるか。
ドラマなら1時間、映画だったら2時間ないしは3時間の尺で描いていく中、15分を常に全力投球でやっていく難しさも感じていました。それでも、疑問に思うことがあったら決して流さずに立ち止まって、常に全員で話し合ってきたからこそ、最終回のラストシーンになったんだと思っています。